レジスタ・リネーミングとディスパッチ・ネットワークを不要とするトレース・キャッシュ・アーキテクチャ

元データ 2011-07-20

概要

我々の研究室では面積効率の高いスーパスカラ・プロセッサを実現する手法を提案してきた.特に,命令間の依存解析を行うレジスタ・リネーミングに必要なロジックを削減する手法として,Renamed Trace Cache(RTC) を提案した.RTC は依存解析済みの命令列をトレース・キャッシュに格納し,再利用する.通常のレジスタ・リネーミングでは依存解析結果を再利用することは不可能だが,RTC では,後続の命令が依存元の命令を指定する形式に命令の変換を行うことによって,再利用を可能にしている.RTC ヒット時は,依存解析を行うことなく命令の実行が可能である.ミス時にのみ依存解析を行う.そのときのリネーム幅を最小限にすることで,RMT の面積を大幅に削減することができる.多くの場合は RTC にヒットするため,性能の低下は抑えることができ,面積効率は高くなる.本稿では RTC を応用し,更にディスパッチされた後の命令列を格納する Dispatched Image Cache(DIC) を提案する.DIC は対応する命令ウィンドウへの分配情報も再利用する.これは,RTC と同様の方法で依存解析を行った命令を,対応する命令ウィンドウに合わせて領域が区切られた DIC にまとめて格納することで可能となる.DIC ヒット時には,得られたイメージをそのまま命令ウィンドウに格納すればよく,レジスタ・リネーミングとディスパッチ・ネットワークの処理を行う必要がない.これらの処理は,ミス時にのみ,小規模のロジックによって時間をかけて行う.そうすることで,性能を落とさずにレジスタ・リネーミングとディスパッチに必要な回路負荷を最小限に抑えることができる.また DIC では,命令の出現パターンや実行パスの変化によってキャッシュの利用効率が落ちる場合がある.本稿ではキャッシュの利用効率が落ちないような DIC のキャッシュ格納手法の提案・比較を行った.予備評価の結果,高価なキャッシュ格納アルゴリズムを実装することによるキャッシュ利用効率の向上は,そのために必要となる追加ロジックの量に見合っていないという結果が得られた.

著者

五島 正裕 東京大学情報理工学系研究科
五島 正裕 東京大学大学院情報理工学系研究科
塩谷 亮太 東京大学情報理工学系研究科:日本学術振興会
五島 正裕 東京大学 情報理工学系研究科
坂井 修一 東京大学 情報理工学系研究科
ハイハー グェン 京都大学情報学研究科
倉田 成己 東京大学大学院情報理工学系研究科

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