Epileptic spasmsを呈したMECP2領域微細重複症候群の一例
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概要
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【はじめに】methyl CpG binding protein 2 gene (MECP2) 領域の微細重複症候群はX連鎖精神発達遅滞の原因のひとつであり、乳児期の筋緊張低下、重度精神遅滞、自閉症、てんかん、特異顔貌、頻回の気道感染を特徴とするが、臨床像の報告は少ない。今回、Epileptic spasms(ES)を呈した男性例を経験したので報告する。,【症例】14歳男性。家族歴:神経筋疾患なし。既往歴:乳児期の筋緊張低下あり。精神運動発達遅滞に対して、1歳6カ月時に頭部MRI、脳波を施行されたが異常は指摘されなかった。14歳現在も単語のみで重度精神遅滞を認める。現病歴:13歳時より頸部を前屈する発作が出現し、他院でバルプロ酸ナトリウム(VPA) を投与されたが効果なく一旦中止されていた。同年当院を受診し、アレイCGHにて上記診断した。上記発作に対しVPAを再開するも失立発作が出現し、転倒して舌を噛み切るエピソードがあった。その後エトスクシミド(ESM) を併用して失立発作は減少するも、律動性の頸部前屈発作は増悪、強直間代痙攣の群発あり精査のため入院した。頭部MRI上大脳全体の萎縮、側脳室拡大、及び脳梁体部の後方の深部白質に嚢胞性病変を認めた。発作時ビデオ・ポリグラフ同時記録で頸部の前屈および失立発作はESと診断した。発作間欠期脳波は背景脳波の徐波化と活発な全般性遅棘徐波複合を認めた。現在、VPA, クロバサム(CLB), ラモトリギン(LTG) を投与中である。,【考察】本疾患では、幼児期後期以降に非定型欠神発作やミオクロニーまたはミオクロニー・失立発作の報告がある。本症例の失立転倒発作は、発作時ビデオ・ポリグラフ同時記録でESと診断した。本症例のXq28における重複は、MECP2の他、神経系の発達に関与するSLC6A8, L1CAM, FLNAの領域などを含み、今後、重複領域と脳波所見を含めた神経学的な所見の関連の検討が重要と考えた。
- 2013-01-31
著者
-
塩田 睦記
東京女子医科大学小児科
-
石垣 景子
東京女子医科大学小児科
-
下島 圭子
東京女子医科大学国際統合医科学インスティテュート
-
山本 俊至
東京女子医科大学国際統合医科学インスティテュート
-
衞藤 薫
東京女子医科大学 医学部 小児科学教室
-
大澤 眞木子
東京女子医科大学医学部小児科学
-
坂内 優子
東京女子医科大学 小児科
-
衞藤 薫/坂内
東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学;東京女子医科大学統合医科学研究所/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学統合医科学研究所/東京女子医科大学医学部小児科学;東京女子医科大学統合医科学研究所/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学
-
小國 弘量
東京女子医科大学医学部小児科学
-
大谷 ゆい
東京女子医科大学医学部小児科学
-
島田 姿野
東京女子医科大学医学部小児科学
-
島田 姿野
東京女子医科大学医学部小児科学;東京女子医科大学統合医科学研究所
-
坂内 優子
東京女子医科大学医学部小児科学
-
塩田 睦記
東京女子医科大学医学部小児科学
-
衞藤 薫
東京女子医科大学医学部小児科学
-
石垣 景子
東京女子医科大学医学部小児科学
-
山本 俊至
東京女子医科大学医学部小児科学;東京女子医科大学統合医科学研究所
-
山本 俊至
東京女子医科大学付属統合医科学研究所
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