ランゲルハンス細胞組織球症117例の臨床像と長期予後および画像所見の特徴について
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概要
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ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は多彩な臨床像や経過を示す稀少疾患であることから、単一の専門施設における長期観察例の解析は貴重な意義をもつ。我々は国立小児病院開設当初の1966年から2012年6月までに同施設で診療が行われた小児LCH 117例の診療録を対象とし、臨床経過と長期予後について後方視的解析を行った。,発症年齢の中央値は1.7歳(生後0日〜19歳)であった。多臓器型69例に限ると半数は1歳未満であり、リスク臓器とされる肝、脾、肺、骨髄への浸潤のある群は、リスク臓器浸潤のない群と比較し、より低年齢であった(0.6歳 vs 1.7歳: p<0.01)。発症から診断までの期間は中央値2.0か月であったが、11例(9.4%)では診断までに1年以上経過していた。多臓器型の11例が死亡し、このうち10例ではリスク臓器浸潤を認めた。5年生存率はリスク臓器浸潤のない群では98.8%(95%CI: 96.4〜100%)、リスク臓器浸潤のある群では62.5%(95%CI: 44.1〜80.9%, p<0.001)と明らかな差を認めた。生存例の40.5%で再燃を生じ、半数は3回以上再燃を反復した。重大な晩期合併症である尿崩症は22例、中枢神経変性病変は8例に認められ、長期フォローアップの重要性が示された。,LCHの診断には画像検査が重要であり、とくに頭蓋円形透瞭像は特徴的である。類似した画像所見を呈した良性の病態として Dermoid cyst、Infantile hemangioma、Sinus pericranii、Arachnoid granulation、Fibrous dysplasiaが経験され、発症部位や慢性の経過を示す辺縁の骨硬化の有無などがLCHとの鑑別点となった。,LCH診療の今後の課題として、治癒率のさらなる向上と再燃および晩期合併症の回避を目指し、早期診断と適切な治療戦略の確立が望まれる。
- 2013-01-31
著者
-
宮嵜 治
国立成育医療センター放射線科
-
宮崎 治
国立成育医療センター 放射線診療部
-
大澤 眞木子
東京女子医科大学医学部小児科学
-
恒松 由記子
こども教育宝仙大学
-
大澤 真木子
東京女子医科大学
-
中澤 温子
国立成育医療研究センター
-
宮嵜 治
国立成育医療研究センター放射線診断科
-
塩田 曜子/中澤
東京女子医科大学医学部小児科学;国立成育医療研究センター腫瘍科/国立成育医療研究センター病理診断部/国立成育医療研究センター放射線診療部/こども教育宝仙大学/東京女子医科大学医学部小児科学
-
塩田 曜子
東京女子医科大学医学部小児科学;国立成育医療研究センター腫瘍科
-
宮嵜 治
国立成育医療研究センター放射線診療部
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