成長ホルモンのけいれん惹起性に関する検討

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成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)に対する成長ホルモン(GH)治療中にてんかん発作を認めた3症例を経験した。GHのけいれん惹起性を検討するために、自然発症GH欠損ラット(SDR)を用いてGH、インスリン様成長因子I(IGF-I)の急性、慢性投与によるSDRの脳内ソマトスタチン(SRIF)、ニューロペプチドY(NPY)、γ-アミノ酪酸(GABA)濃度、SRIFメッセンジャーRNA(SRIFmRNA)、NPYmRNA発現の変化を検討した。一方、微小透析プローベをSDR線条体に植え込み、GH、IGF-I急性・慢性投与下における微小透析液中のGABA、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)を検討した。本研究では、SDR脳内NPY濃度は、IGF-Iの慢性投与で海馬において有意な減少を示し、また、GHの慢性投与で線条体においてIGF-Iの慢性投与と比較して有意な増加を示した。SDR脳内NPYmRNA発現は、GH慢性投与で線条体において有意な増加を示し、IGF-I慢性投与で海馬において有意な減少を示した。GH、IGF-Iの急性・慢性投与においてSDRのSRIF濃度、SRIFmRNA発現,GABA濃度には有意な変化は見られなかった。またSDR線条体における微小透析液中のGABA、Glu、Asp濃度は有意な変化は見られなかった。本研究においてIGF-Iの慢性投与によりSDRの海馬におけるNPYの変化がみられたことはGHD患者のGH治療においてみられたけいれん発作発現がGHの直接作用でなく、IGF-Iを介して引き起こされた可能性は否定できないと思われる。
2013-01-31

成長ホルモンのけいれん惹起性に関する検討

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