頭部MRIでprofound asphyxiaを認めた正期産児の予後
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概要
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諸言 新生児におけるprofound asphyxiaは新生児学、小児科学分野において重要な論点となる。今回我々は、頭部MRIにおいてprofound asphyxiaの所見を認めた正期産児の精神運動発達と予後に関する検討を行った。,対象および方法 新生児期に施行した頭部MRIのT1 強調画像における基底核高信号所見によってprofound asphyxiaと診断された症例を対象とした。これらの児で、少なくとも数ヶ月の発達経過を観察した。これらの児における周産期の臨床データと児の発達予後について検討を行った。,結果 頭部MRIで上述したprofound asphyxia所見を認め、乳児期の経過観察が可能だった対象は9症例だった。全例が在胎37週から42週の児で、体重は2,500 g以上である。9症例のうち、臨床的にApgar score から重症新生児仮死と診断された例が4例、中等症新生児仮死例が2例だった。他の3症例は臨床的には仮死と診断できなかったが、それぞれ、新生児早期に気胸、低血糖、または無呼吸を合併したため頭部MRIが施行されていた。頭部MRI所見はprofound asphyxiaと判断した所見であるT1強調像の基底核の高信号所見以外には、2例においてT2強調像で低信号を呈していた。乳児、小児期の精神運動発達は、1例は中枢性筋緊張低下を伴って、運動発達の軽度の遅れを認めたが、他の8例は月齢相当の発達を示した。,結論 新生児期に頭部MRIでprofound asphyxia所見を認めた正期産児の発達予後は、概ね良好に経過することが示唆された。
- 2013-01-31
著者
-
平澤 恭子
東京女子医科大学 乳児行動発達学講座
-
楠田 聡
東京女子医科大学母子総合医療センター
-
楠田 聡
大阪大学 大学院医学系研究科社会環境医学
-
楠田 聡
東京女子医科大学 母子総合医療センター
-
大澤 眞木子
東京女子医科大学医学部小児科学
-
内山 温
東京女子医科大学附属母子総合医療センター 新生児部門
-
内山 温
東京女子医科大学 母子総合医療センター 新生児部門
-
竹下 暁子/平澤
東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学母子総合医療センター新生児部門/東京女子医科大学母子総合医療センター新生児部門/東京女子医科大学医学部小児科学
-
竹下 暁子
東京女子医科大学医学部小児科学
-
楠田 聡
東京女子医科大学小児科,東京女子医科大学母子総合医療センターNICU部門
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