小児科領域における研究と治療の進歩(3)新生児内分泌疾患-早産児の晩期循環不全について-
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概要
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早産児の救命率の向上により新たな病態の存在が明らかとなってきた。その一つは早産児に生じる晩期循環不全と呼ばれる病態である。出生後2週間程度して全身状態が落ちついた早産児が突然尿量の減少、低Na血症、高K血症、肺水腫、低血圧を認めるものである。少量のグルココルチコイドの投与によりこれらの症状が改善することから、早産児の副腎皮質機能低下症が疑われた。そこで、発症群と非発症群の血中コルチゾール濃度を測定したところ両群では差を認めなかった。一方、コルチゾール産生の中間代謝産物が発症群で増加していた。これは、胎児と同様に早産児の副腎皮質では3β-hydroxysteroid dehydrogenase機能が低下しているため、ストレスに見合ったコルチゾールが産生出来ない結果相対的副腎皮質機能低下症に陥っていたと説明できる。早産児は本来は胎児であることを考慮して考える必要がある。本疾患の病態が解明された結果、早期診断および治療が可能となり、本疾患の最も重篤な合併症であった早産児の脳性麻痺の頻度低下が期待される。これは、ハイリスク児の障害無き救命に繋がり、さらなる新生児医療の進歩が期待される大きな成果である。このように新生児の内分泌機能の研究では、いつも胎児を考慮にいれて検討する必要性を示唆している。
- 2011-02-25
著者
-
楠田 聡
東京女子医科大学母子総合医療センター新生児部
-
楠田 聡
大阪市立総合医療センター
-
楠田 聡
東京女子医科大学母子総合医療センター
-
楠田 聡
大阪大学 大学院医学系研究科社会環境医学
-
楠田 聡
東京女子医科大学 母子総合医療センター
-
楠田 聡
東京女子医科大学母子総合医療センター 新生児部門
-
楠田 聡
東京女子医科大学小児科,東京女子医科大学母子総合医療センターNICU部門
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