ケトン食療法長期継続中のDravet症候群の検討
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概要
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【目的】ケトン食療法を長期維持できている症例を検討し、効果や問題点などを明らかにする。,【方法】当科通院加療中のDravet症候群のうち、1年以上ケトン食療法を継続中の患児についてケトン食治療の実際、治療効果、副作用などについて調査した。,【対象】男児2例、女児2例、調査時年齢5歳0ヶ月〜11歳10ヶ月であった。てんかん発症月齢0歳3ヶ月〜0歳7ヶ月。臨床病型は典型的Dravet症候群 3例、ミオクロニー発作を伴わない辺縁例1例。SCN1A遺伝子変異は3例で検出(missense2例、nonsense1例)され、1例は変異なしであった。発作経過は難治で全例にけいれん重積の既往があり、5〜7種類以上の抗てんかん薬にて発作頻度は一日1回以上であった。,【結果】ケトン食療法導入年齢は2歳7ヶ月〜7歳2ヶ月であり、導入時に抗てんかん薬2〜4剤を併用していた。古典的ケトン食療法(ケトン比4:1)が3例、アトキンス式が1例に導入された。発作に対する効果は数日後から発現し、一時的に発作のない日ができた他、発作型では全身性・半身けいれんの強さと持続時間が軽減する効果がみられた。ミオクロニー、部分発作に対する効果は少なく、完全に発作消失に至った例はなかった。食事内容や気分よる食べムラにより尿中ケトン体の変動をきたし、発作が増悪軽快するなどの不安定さも問題であった。発作頻度が不変であっても、抗てんかん薬の減量ができたり精神発達の伸びが見られるなどの効果を認めたことが、長期維持を可能にした一要因であった。,【結論】Dravet症候群の特殊治療としてケトン食療法は有効であり、発作消失が目標ではなく多剤による副作用の軽減や日常生活動作を改善させるなどの効果が期待され、家族環境や患児の性質によっては薬物治療より受け入れやすく、長期維持が可能であった。
- 2013-01-31
著者
-
伊藤 康
東京女子医科大学小児科
-
大沢 真木子
東京女子医科大学小児科
-
大澤 真木子
東京女子医科大学医学部 小児科
-
小国 美也子
東京女子医科大学小児科
-
小国 弘量
東京女子医科大学 医学部小児科学
-
大澤 眞木子
東京女子医科大学医学部小児科学
-
坂内 優子
東京女子医科大学 小児科
-
大澤 真木子
東京女子医科大学
-
伊藤 康
東京女子医科大学医学部小児科
-
坂内 優子/小国
東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学;山脇女子短期大学栄養学部/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学
-
坂内 優子
東京女子医科大学医学部小児科学
-
小国 美也子
東京女子医科大学医学部小児科学;山脇女子短期大学栄養学部
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