免疫グロブリン大量療法に不応の難治性川崎病に対するインフリキシマブ療法-4例の症例検討、血漿交換療法との比較-

概要

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【緒言】免疫グロブリン大量療法(IVIG)不応川崎病は冠動脈瘤の発症頻度が高くなるため、適切で安全な治療法が必要とされる。我々はIVIG不応川崎病に対して、インフリキシマブ(IFX)治療を行い、血漿交換療法(PEX)例との比較からその適応と効果、安全性について報告する。,【方法】対象は発症年齢1歳6ヵ月以上かつ第10病日以内の川崎病症例で、IVIGを行い白血球数、CRPなどの改善のない例をIFX治療適応候補とした。保護者に説明・同意を得てIFX5mg/kgを生理食塩水に溶解・希釈し、2時間以上かけて静脈内投与した。有効性と安全性について評価し、またPEXを施行した9例との比較を行った。,【結果】2010年7月から2012年6月にIVIG不応の川崎病4症例(平均4.8歳、男2例、女2例)を登録した。全例、川崎病の診断基準4/6以上でIVIGに不応だった。感染症の検索、心機能評価を行い、全例で肺炎などの感染症や心不全徴候は認めなかった。2例で冠動脈のエコー輝度亢進と軽度拡張を認めた。IFX投与後全例で3日以内に解熱、白血球数、CRPの改善を認めた。全例で再燃なく、冠動脈病変は2例で一時的な拡張を認めたのみで後遺症はなかった。IFXによる投与時反応や感染症発症、心機能異常を認めなかった。発症1ヵ月後に1例で反応性と思われる関節炎を認めた。PEXとの比較では、発症年齢は約2歳高く、解熱までの期間、治療から退院までの期間がIFX例でやや短かった。,【結語】4例のIVIG不応川崎病に対してIFXは有効だった。一方、リウマチ性疾患に対するIFX使用経験より心機能に異常を認める例、感染症を認める例には投与すべきではなく、評価及び適応の判断には充分注意すべきであった。また1歳未満乳児はBCG接種からの期間が短いなど安全性が確立されておらず、投与は推奨されない。PEXと比べ同等の効果がある上に、患児への侵襲が少なく、特別な機器を持たない一般病院でも実施できることから、安全性に留意すればより利便性の高い治療法になる。
2013-01-31

免疫グロブリン大量療法に不応の難治性川崎病に対するインフリキシマブ療法-4例の症例検討、血漿交換療法との比較-

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