脳性麻痺と診断されていた瀬川病の女性例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
瀬川病は14q22.1-q22.2に存在するGTPシクロヒドロラーゼI(GCH1)遺伝子異常に起因する常染色体優性遺伝性ジストニーである。典型例では6歳をピークに下肢姿勢ジストニアで発症し筋固縮の進行は10歳代後半までみられるが以後緩徐になり30歳代では定常状態となる疾患である。日内変動は小児期には著明であるが20歳代後半には徐々に消失することが知られている。多くの患者が症状の日内変動に気づかれず脳性麻痺などの診断を受けている。今回私たちも脳性麻痺と診断を受けていたが問診により症状に日内変動があることに気付き遺伝子検査にて瀬川病と確定診断しL-dopaが著効した1例を経験したので報告する。,症例は17歳女性で 家族歴, 既往歴, 発達歴に特に問題は認めなかった。6歳時に左足の尖足、歩行障害、 姿勢の異常出現、症状の増悪を認めたため当科を受診した。問診にて歩行障害、姿勢の異常には日内変動があることが判明した。 脊髄・頭部MRIでは異常を認めず、臨床症状と日内変動を認めるという問診より瀬川病を疑った。 髄液中のネオプテリン、バイオプテリンの低値と血球中のGTPシクロヒドラーゼI(GCH1)酵素活性低値、さらにGCH1遺伝子異常を認め瀬川病と確定診断した。 L-dopa内服で速やかに完全寛解し10年経過するが副作用なく持続している。診断のきっかけは朝夕での症状の違いを具体的な例をあげて母親に質問したことで症状に日内変動があることがわかった。具体例を挙げての詳細な問診は診断の一助となることを再認識した1例であった。,
- 2013-07-31
著者
-
一瀬 宏
東京工業大学大学院生命理工学研究科
-
大沢 真木子
東京女子医科大学小児科
-
村上 てるみ
東京女子医科大学小児科
-
大澤 真木子
東京女子医科大学医学部 小児科
-
西村 敏
東京女子医科大学小児科
-
西村 敏
東京女子医科大学
-
舟塚 真
東京女子医科大学 眼科学教室
-
村上 てるみ
東京女子医科大学 小児科学教室
-
大澤 眞木子
東京女子医科大学医学部小児科学
-
新宅 治夫
大阪市立大学 医学部 小児科
-
大澤 真木子
東京女子医科大学
-
一瀬 宏
東京工業大学大学院生命理工学研究科分子生命科学専攻
-
一瀬 宏
東京工業大学大学院 生命理工学研究科
-
一瀬 宏
藤田保健衛生大 総合医科学研究所
-
西村 敏
東京女子医科大学医学部小児科学;にしむらこどもクリニック
-
舟塚 真
東京女子医科大学医学部小児科学
-
西村 敏
東京女子医科大学医学部小児科学
-
新宅 治夫
大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学分野
関連論文
- 医師に対する学童保育支援の必要性
- 2.ビオプテリン欠乏マウスにおける生後発達期におけるモノアミンの変化(第420回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- 10.ジヒドロプテリジン還元酵素ノックアウトマウスにおけるモノアミン代謝の変化(第418回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- 医師の勤務に対応する学童保育支援の検討
- P2-60 糖輸送担体1型欠損症に対するアトキンス式ダイエット変法 : 従来のケトン食療法に代わる新たな食事療法(薬物治療6,一般演題(ポスター),てんかん制圧:新たなステージに向けて,第41回日本てんかん学会)
- 長期間に亘り心因発作と診断されていた恐怖発作を呈する一女児例
- E-33 当科におけるてんかん手術例の検討
- 学生はテュートリアルをどう捉えているのか(2)-個人面接およびグループ討論からの検討-
- 学生はテュートリアルをどう捉えているのか(1)-基礎医学教育へのテュートリアルの導入-
- C-26 小児てんかんに対するジアゼパム坐剤の臨床的検討
- 6.ヒト・芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の組織特異的なスプライシングによるmRNA多型 : ビタミンB研究委員会 第331回会議研究発表要旨
- 3.チロシン水酸化酵素の黒質特異的遺伝子破壊による神経終末でのタンパク質量変化について(第408回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- テトラヒドロビオプテリン欠損がもたらす病態を解析するための遺伝子改変マウス
- ビオプテリン生合成酵素ノックアウトマウスの作製とモノアミン代謝の変化
- 血管内皮細胞におけるサイトカイン刺激によるTetrahydrobiopterin産生のcAMPによる抑制
- 10.ビオプテリン欠損マウスにおけるモノアミン代謝の変化
- 72(P-61) 微生物中の微量テトラヒドロプテリンの絶対構造の決定(ポスター発表の部)
- 小児難治性てんかんに対するケトン食治療の再検討
- Panayiotopoulos 症候群106例の臨床・脳波学的検討
- 脳波異常を伴わないPanayiotopoulos症候群3例の検討(一般演題,第2回日本てんかん学会関東・甲信越地方会)
- 若年性ミオクロニーてんかんにおける治療抵抗因子の検討
- P2-29 West症候群におけるECD-SPECTとIomazenil-SPECTの有用性の比較(画像,一般演題(ポスター),第42回日本てんかん学会)
- P1-27 NICU入院歴と、その後のてんかん発症との関連について(病因,一般演題(ポスター),第42回日本てんかん学会)
- P1-17 長時間ビデオ脳波検査の有用性に関する検討(脳波・脳磁図1,一般演題(ポスター),第42回日本てんかん学会)
- 新しいてんかん診断大要案(2001)の小児科領域における臨床応用と問題点
- 小児期の占拠性病変に伴う側頭葉てんかんの臨床研究
- アセチルコリン受容体欠乏症による先天性筋無力症候群患児に対する治療の取り組み
- 7例の colpocephaly に合併した症候性部分てんかんの臨床・脳波学的検討
- てんかん発作が疑われた神経調節性失神8例の臨床的検討
- 3.D-Bifunctional protein欠損症の1例(第28回東京女子医科大学神経懇話会)
- P-17 PHTによりDIHS様症状の後に無顆粒球症を呈した1症例 : 同時期に同病棟で発症した軽症薬疹2症例との比較検討(副作用,一般演題(ポスター),第40回 日本てんかん学会)
- O2-71 Rasmussen症候群小児2例における機能的半球切除術前後の発作、ADL改善についての検討(QOL,一般演題(口演),第40回 日本てんかん学会)
- ACTHとzonisamideの併用療法下に腎盂結石をきたした驚愕てんかんの1例
- 22q11.2欠失症候群における包括的遺伝子医療の重要性
- 6. 福山型先天性筋ジストロフィーにおける大脳皮質・網膜病変の神経病理学的考察(一般演題,第20回東京女子医科大学神経懇話会,学術情報)
- 5. 瀬川病の1女児例(一般演題,第24回東京女子医科大学神経懇話会,学術情報)
- E-18 発作コントロールにより数か月にわたる麻痺と退行が消失したてんかん幼児例
- W2-4 新しいてんかん分類(2001・2006)の臨床応用と問題点(新しいてんかん分類をめぐって,ワークショップ,てんかん制圧:新たなステージに向けて,第41回日本てんかん学会)
- F-33 ATP感受性Kチャンネル開放薬, levcromakalimのラットキンドリング発作に及ぼす効果 : その作用機序について
- 若年発症歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症の不随意運動に対するTRH療法
- 視床下部過誤腫5例の臨床脳波学的検討
- 自閉症におけるメチルコバラミン療法の予備的検討
- D-2 視床下部過誤腫5例の臨床脳波学的検討
- 下肢痛時に筋MRI T2強調画像で高信号域を呈したDuchenne型筋ジストロフィーの1例(小児科学教室大澤真木子教授開講5周年記念)
- 1-I-9 ジヒドロプテリジン還元酵素の脳内分布とノックアウトマウスにおける生化学的・組織化学的解析(一般研究発表,日本ビタミン学会第61回大会研究発表要旨)
- ビオプテリン代謝とパーキンソン病〔含 議論〕 (第168回必須アミノ酸研究協議会 シンポジウム:タンパク質・アミノ酸栄養の新しい展開)
- テトラヒドロビオプテリンの研究に関する最近の進歩(ビタミン類縁化合物に関する最近の研究)
- 2-IV-13 GTPシクロヒドロラーゼIはmetal-free GTPを基質とする(第56回大会一般研究発表)
- 3.GTPシクロヒドロラーセI活性に及ぼす2価金属イオンの影響(第393回ビタミンB研究委員会研究発表要旨)
- 新規細胞内制御因子V-1によるcAMP応答配列を仲介した GTP cyclohydrolase I 遺伝子の発現誘導
- 7. 新規タンパク質V-1によるカテコールアミン合成酵素遺伝子の発現制御機構
- 1-III-16 V-1過剰発現PC12D細胞におけるGTPシクロヒドロラーゼIの発現誘導
- パーキンソン病に対する新しい治療用遺伝子の開発 (特集 神経系の遺伝子治療--その現状と展望)
- 6. GTPシクロヒドロラーゼIの組織分布とトランスジェニックマウスを用いた組織特異的発現機構の解析
- 瀬川病
- 2-III-7 ジストニア患者におけるGTPシクロヒドロラーゼmRNA量の減少
- 2-III-6 大腸菌発現系におけるヒトGTPシクロヒドロラーゼIの解析
- ビオプテリン代謝とジストニア・パーキンソニズム
- 6. ヒトGTPシクロヒドロラーゼI変異体の酵素化学的性質
- 瀬川病患者の血液単核球中におけるGTP cyclohydrolase I mRNAの定量
- 2-III-13 テトラヒドロビオプテリンによるチロシン水酸化酵素タンパク質の凝集・減少(一般研究発表,日本ビタミン学会 第58回大会研究発表要旨)
- 3.チロシン水酸化酵素のタンパク質量制御機構について : 第397回ビタミンB研究委員会
- 1.テトラヒドロビオプテリンによるチロシン水酸化酵素の不活性化現象
- 3.セピアプテリンリダクターゼ : ビタミンB研究委員会シンポジウム要旨 : テトラヒドロビオプテリンの基礎と臨床
- ヒト・チロシンモノオキシゲナーゼのcDNAクローンの単離と塩基配列 : ビタミンB研究委員会 : 第300回会議研究発表要旨
- 6.ビオプテリンの分子生物学 : 第44回大会シンポジウム(ビタミン研究への分子生物学的アプローチ : 遺伝病との関連において)
- 6.ビオプテリンの分子生物学 : 第44回研究発表要旨 : ビタミン研究への分子生物学的アプローチ : 遺伝病との関連において
- 11. ビオプテリン生合成酵素遺伝子の構造
- 6.MPTPパーキンソン病サルの黒質,青斑核,副腎のチロシン水酸化酵素タイプ1,タイプ2mRNAの変化 : ビタミンB研究委員会第342回会議研究発表要旨
- GTPシクロヒドロラーゼI遺伝子多型と疾患との関連
- 10.プロテアゾーム阻害によるリン酸化チロシン水酸化酵素の不溶性凝集体形成と生理的意義(第413回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- 2-IV-9 BH_4欠乏マウスにおけるBH_4依存性酵素タンパク質量の変化(一般研究発表,新世紀ビタミン学の展望と先進的展開を目指して,日本ビタミン学会第60回大会発表要旨)
- テトラヒドロビオプテリン生合成に関する新たな疑問
- 2.セピアプテリン還元酵素ノックアウトマウスにおけるプテリジン代謝(第405回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- 9.テトラヒドロビオプテリン欠乏モデルマウスhph-1における遺伝子変異の解析(第402回ビタミンB研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- タンパク質の凝集反応と神経変性疾患
- ビタミン類縁化合物に関する最近の研究
- はじめに(ビタミン類縁化合物に関する最近の研究)
- 9.おわりに(「ビタミン類縁化合物に関する最近の研究」ビタミンB研究委員会シンポジウム(平成15年度))
- 3.テトラヒドロビオプテリン(「ビタミン類縁化合物に関する最近の研究」ビタミンB研究委員会シンポジウム(平成15年度))
- 瀬川病原因遺伝子の同定まで
- 遺伝性ジストニアの分子生物学
- HPD/DRDの分子遺伝 (7月第1土曜特集 Parkinson病) -- (Parkinson病の分子遺伝学)
- 7.テトラヒドロビオプテリン補酵素によるプテリン要求酵素の調節 : ビタミンB研究委員会第360回会議研究発表要旨
- 5.遺伝性ジストニアの分子遺伝学 : 補酵素テトラヒドロビオプテリンによるチロシン3-モノオキシゲナーゼの活性調節 : ビタミンB研究委員会第358回会議研究発表要旨
- 瀬川病--ド-パ-レスポンシブ・ジストニアにおけるGTP-cyclohydrolase 1遺伝子異常
- 4.著明な日内変動を呈する遺伝性進行性ジストニア,瀬川病に発見されたGTPシクロヒドロラーゼI遺伝子の新しい突然変異 : ビタミンB研究委員会 第347回会議研究発表要旨
- 12.遺伝性進行性ジストニーの原因遺伝子はGTPシクロヒドロラーゼI遺伝子である : ビタミンB研究委員会 第343回会議研究発表要旨
- 遺伝性ジストニアの分子遺伝学 (第30回脳のシンポジウム) -- (神経疾患の分子遺伝学)
- 7.ヒト・セピアプテリンレダクターゼのcDNAクローニングと構造 : ビタミンB研究委員会第325回会議研究発表要旨
- 芳香族アミノ酸水酸化酵素の3種のプテリン要求モノオキシゲナーゼの比較
- ピロロキノリンキノンの生合成と生理活性の最近の研究から
- ノックアウト・マウス (ゲノム・ノート(6))
- 神経疾患患者の脳脊髄液における還元型プテリジンレベルの測定 : 臨床試料中の還元型プテリジン測定へのポストカラム酸化法の応用
- 神経疾患患者の脳脊髄液における還元型プテリジンレベルの測定 : 臨床試料中の還元型プテリジン測定へのポストカラム酸化法の応用
- 7.ビオプテリン量調節における再還元反応の寄与について(第429回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- 脳性麻痺と診断されていた瀬川病の女性例
- ビオプテリンの生理機能と病態代謝(学会賞受賞講演,第65回大会講演要旨)
- 7.チロシン水酸化酵素過剰発現による神経終末でのドーパミン量への影響(第431回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- パントテン酸キナーゼ遺伝子の欠損で発症する神経変性疾患NBIA1