極長鎖脂肪酸の反復検査で診断し得たD-bifunctional protein欠損症の1例
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概要
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D-bifunctional protein欠損症(以下DBP欠損症)は、ペルオキシゾーム病の1型でβ酸化系酵素単独欠損症である。我々は、病初期に非典型的な臨床像を呈し、徐々に特徴的な経過となったDBP欠損症の1例を経験したので報告する。,症例は家族歴のない2歳2か月の女児で新生児期発症の難治性てんかんと重度精神運動発達遅滞、特異顔貌、肝脾腫があった。生後4か月時には筋緊張は亢進し、極長鎖脂肪酸は微増のみでDBP欠損症を疑うことは難しかった。生後6ヶ月で点頭てんかんを発症し、1歳6か月の感冒を契機に退行した。1歳10か月では、筋緊張は低下し、網膜色素変性症、髄液中の蛋白上昇、副腎不全、頭部MRIで白質ジストロフィー所見が明らかなった。β酸化系酵素異常の典型的な臨床像、検査所見であったので、極長鎖脂肪酸を再検したところ、著増していた。以上の経過からペルオキシゾーム病を疑った。プラスマローゲン、フィタン酸は正常で、細胞レベルの解析でもペルオキシゾームの形態異常はなく、β酸化系酵素単独欠損症と考えられた。最終的に、遺伝子検査でミスセンス変異とスプライシングの異常を認め、DBP欠損症と確定診断した。2歳を過ぎ、てんかんコントロールは困難で、肝機能障害が出現し、2歳2ヶ月時に誤嚥のため死亡した。,DBP欠損症では、長期に経過を追うことによって典型的な臨床像になることが示唆された。長期経過観察の結果、典型的な経過になった場合には、病初期に極長鎖脂肪酸が上昇していなくても、繰り返し検査することが必要であると考えられた。
- 2013-01-31
著者
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塩田 睦記
東京女子医科大学小児科
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石垣 景子
東京女子医科大学小児科
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下澤 伸行
岐阜大学生命科学総合研究支援センター
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舟塚 真
東京女子医科大学 眼科学教室
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斎藤 加代子
東京女子医科大学女性医師生涯研鑽支援委員会 東京女子医科大学遺伝子医療センター
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斎藤 加代子
浜松市発達医療総合福祉センター 小児神経科
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大澤 眞木子
東京女子医科大学医学部小児科学
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斎藤 加代子
女性医学研究者支援委員会
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下澤 伸行
岐阜大学生命科学総合研究支援センター ゲノム研究分野
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斎藤 加代子
東京女子医科大学小児科
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大澤 真木子
東京女子医科大学
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斎藤 加代子
東京女子医大附属遺伝子医療センター
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齋藤 加代子
東京女子医科大学
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塩田 睦記/舟塚
東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学八千代医療センター小児科/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学医学部小児科学/東京女子医科大学遺伝子医療センター/岐阜大学生命科学総合研究支援センターゲノム研究分野/東京女子医科大学医学部小児科学
-
竹下 暁子
東京女子医科大学医学部小児科学
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小田 絵里
東京女子医科大学医学部小児科学
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白戸 由理
東京女子医科大学八千代医療センター小児科
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齋藤 加代子
東京女子医科大学遺伝子医療センター
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塩田 睦記
東京女子医科大学医学部小児科学
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舟塚 真
東京女子医科大学医学部小児科学
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石垣 景子
東京女子医科大学医学部小児科学
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