酵素補充療法に異なる治療反応性を示した小児型Pompe病2症例

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Pompe病は酸性α-グルコシダーゼ欠損により、著明な筋力低下や呼吸筋障害、心肥大を来たす難治性の先天性代謝異常症である。酵素補充療法により治療可能な疾患となり、早期診断、治療指標の検討が重要になってきている。我々は酵素補充療法に対して異なる治療反応性を示した小児型Pompe病患者2例の臨床経過と骨格筋画像の変化を検討した。症例1は14歳男子。2歳頃より易転倒性、鼻声などの症状が出現し、5歳時に酵素活性低下より小児型Pompe病と確定診断された。10歳時より酵素補充療法を開始し、早期には治療反応性を示したが、開始後9ヶ月ころから徐々に運動、呼吸機能が低下した。治療前の骨格筋CTでは全体的なCT値上昇と局所的な高吸収域が認められた。治療開始後、臨床経過の改善とともに全体的なCT値は一旦低下したが、症状増悪とともに再び上昇した。一方で、局所的な高吸収域は治療経過に無関係に拡大した。症例2は4歳女児。2歳時に高CK血症に対する精査の結果、Pompe病と確定診断され、酵素補充療法を開始した。治療開始前に筋力低下はなかったが、肝腫大を認めた。治療3ヶ月で肝腫大は改善し、その後も筋力、運動機能低下なく保たれている。治療前の骨格筋CTでは全体的CT値上昇を認めるのみで局所的高吸収域は認めなかった。治療開始後には臨床経過の改善とともにCT値は低下した。筋全体のCT値上昇はグリコーゲン蓄積を反映していると考えられ、治療に対して反応があり可逆的であった。一方、局所的な高吸収域は、自己貪食空砲内のカルシウム蓄積を反映しており、治療による改善を認めなかった。治療前の骨格筋CTにおいて局所的な変化が認められる症例に関しては病理的に不可逆変化が生じており、治療前にある程度の治療反応予測が可能であると考えられた。また筋全体のCT値は治療指標に有用であることが示唆された。
2013-01-31

酵素補充療法に異なる治療反応性を示した小児型Pompe病2症例

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