臨床的にAlpers症候群と診断し、ミトコンドリア呼吸鎖異常症が確認された1剖検例

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Alpers症候群は、予後不良の進行性神経変性疾患で、原因疾患のひとつにミトコンドリア異常症がある。臨床症状からAlpers症候群が疑われ、血液、髄液、MRS検査で乳酸値の上昇は認められなかったが、剖検での肝臓検体の検索により、ミトコンドリア呼吸鎖異常症が確認された1例を経験したので報告する。症例は1歳7ヵ月の女児で、乳児期発症の難治性持続性部分てんかん発作、退行、肝機能障害の臨床症状、脳波でのrhythmic high-amplitude delta with superimposed polyspikesの特徴的な所見よりAlpers症候群が疑われていた。死亡する2ヵ月前まで、血液および髄液中の乳酸値上昇は認めなかった。感染症を契機に乳酸アシドーシス、ショック状態となり、死亡した。剖検での肝臓ミトコンドリア呼吸鎖酵素活性解析の結果、明らかに呼吸鎖I, IVが選択的に低下し、ミトコンドリアDNA量の低下はなかったため、ミトコンドリア呼吸鎖異常症と診断した。特徴的な臨床像、検査所見からAlpers症候群と臨床診断は可能であった。しかし、Alpers症候群は、原因疾患が不明なことも多く、ミトコンドリア異常症はAlpers症候群の中で原因を特定できる数少ない疾患である。ミトコンドリアDNA変異をもつ疾患ではheteroplasmyの問題があり、血液や髄液中の乳酸値上昇がない場合、診断には侵襲的であるが肝生検での酵素活性検査を要することもある。Alpers症候群を疑った場合には、時期を逸せずに肝生検での酵素活性検査を検討する必要がある。
2013-01-31

臨床的にAlpers症候群と診断し、ミトコンドリア呼吸鎖異常症が確認された1剖検例

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