けいれん発作群発に対するリドカイン持続静注の有効性について(<特集>小児科学教室大澤真木子教授開講5周年記念)

概要

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けいれん発作を反復する群発状態は,日常生活を障害し,発作重積状態に移行したり,神経学的後遺症を残す可能性があり,早急に対処すべき症候である.けいれん発作群発を呈し,ジアゼパムの直腸内または静脈内投与が無効であった22症例に対して,リドカイン持続静注療法を試みた.「群発」は繰り返すけいれん発作の間欠期に意識が回復する状態とし,発作頻度は(1)初回けいれん発作の場合には24時間以内に3回以上,(2)てんかん症例では,日常的な発作頻度を超え通常の生活に支障を来す状態,と規定した.リドカインは1〜4mg/kgを静注後,1〜4mg/kg/hrで持続静注を行った.初回発作で基礎疾患のない,神経学的に正常な9症例は平均年齢1歳4カ月で,熱性けいれんの家族歴が高かった.7例ではリドカイン開始後に発作の再燃はなく,中止による再発を認めなかった.1例では発作消失したが中止後に再発し,リドカイン再導入して消失した.1例ではリドカイン無効であった.てんかんの1歳8カ月から22歳までの13例では,17エピソードの発作群発に対して,発作消失3例4エピソード,発作減少5例6エピソード,無効7例7エピソードであった.有効例と無効例とを比較して,年齢,発達障害,神経学的合併症の有無,リドカイン使用量について比較したが,差を認めなかった.両群とも呼吸,循環動態,意識水準,睡眠覚醒リズム,食事摂取などに明らかな影響を認めなかった.ジアゼパム抵抗性の発作群発状態に対して,リドカイン持続静注は基礎疾患のない,発達正常な乳幼児に対してきわめて有用であった.基礎疾患を有し,てんかんとして治療中の発作群発状態には有効率が低いが,副作用なく著効例もあるため,エピソードの早期に試みる方法である.
東京女子医科大学の論文
2000-06-25

けいれん発作群発に対するリドカイン持続静注の有効性について(<特集>小児科学教室大澤真木子教授開講5周年記念)

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