地上デジタルテレビジョン放送を用いたバイスタティックレーダにおけるMUSIC法を用いた移動目標検出法(無線通信技術)

元データ 2010-08-01

概要

放送波を用いたバイスタティックレーダでは,目標の位置標定のために,送信局から直接伝搬する直接波と目標に散乱されて受信局に到達する散乱波の到達遅延時間を計測している.遅延時間は相互相関により算出されるのが一般的であるが,この遅延プロファイルの幅は信号帯域幅で制限される.分解能を向上するためには広帯域の信号を使用する必要があるが,放送波を利用するレーダにおいては,信号諸元を制御することはできない.またOFDM信号においてMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を遅延時間推定に用いて,信号帯域幅の制限を超えて遅延プロファイルの幅を向上させる方法が提案されているが,移動目標のドップラーシフトに関する情報が複素共役演算により,相関行列内に含まれないことから,固定目標と移動目標の区別ができない問題があった.そこで本論文では,移動目標に起因する遅延が生じさせる位相回転について,帯域内の周波数成分間の相関を低減させることにより固定目標による位相回転成分のみを抽出し,移動目標と固定目標が混在する信号から固定目標成分を周波数成分ごとに減算した後,MUSIC法を適用することにより移動目標のみを高分解能で抽出する方式を提案する.帯域幅5.57MHzの地上デジタルテレビジョン放送波を模擬した信号を用いて,計算機シミュレーションにより特性を評価した.その結果,通常の航空機の速度と放送波の周波数を考慮した上で検討すべき目標のドップラー周波数の上限を600Hzとした場合,この全範囲において固定目標を抑圧しつつ,0.1μs離隔しそれぞれのSNRが-10dBである二つの移動目標を分離成功確率0.5以上で分離できることを示す.

著者

浅田 順之 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻
笹瀬 巌 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻
笹瀬 厳 慶應義塾大学

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