地上デジタルテレビジョン放送を用いたバイスタティックレーダにおけるMUSIC法を用いた遅延時間算出による不要波抑圧法(計測・探査)

元データ 2009-06-01

概要

バイスタティックレーダでは,送信局からの直接波等の不要波を抑圧することがレーダ性能を向上させる上で課題となっている.従来の抑圧方式にはLMS(Least Mean Square)規範の適応フィルタやアレー信号処理と伝送特性推定を組み合わせた適応フィルタがあるが,フィルタ応答の収束性の問題や,アレー構成による目標の方向推定等との併用が困難である問題がある.また従来でもデジタル放送を用いたバイスタティックレーダでは,参照信号の品質を向上させるために,参照信号を復調後再生する処理や不要波との同期誤差を補償する処理が行われているが,再生した参照信号の生成精度の劣化と抑圧性能の関係を復調時のSER(Symbol Error Rate)を用いて定量的に評価した報告例やこれに対する改善策の報告例はない.本論文では,地上デジタルテレビジョン放送を用いたバイスタティックレーダにおいて復調後再生した参照信号とMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いて高分解能で算出した遅延時間から不要波のレプリカを生成し,不要波成分の減算処理を行う抑圧方式を提案する.提案方式は抑圧のためにアレー荷重の操作及び帰還処理を行わないため,従来方式の問題は生じない.またSERが悪化した場合,抑圧性能は劣化するが,減算処理後にサブキャリヤ成分ごとにしきい値判定を行い,しきい値を超えて残留した成分を除去することにより抑圧性能を改善する策を提案する.計算機シミュレーションで性能評価を行い,提案方式では収束性の問題はなく,不要波の影響が混入していた不要波の信号対雑音比程度改善され,SERが0.1程度の領域において,目標信号の減衰を0.5dB程度に抑え,エラーフリー時とほぼ同等の不要波抑圧性能が得られることを示す.

著者

浅田 順之 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻
笹瀬 巌 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻
笹瀬 厳 慶應義塾大学

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