部門VPN構成下におけるマルチキャスト通信方式の提案とその評価

概要

論文の詳細を見る
近年,インターネットを利用し,あたかも専用線で接続したかのように安全な通信を実現するVPN (Virtual Private Network)技術に注目が集まっている.また,企業のイントラネット内では,内部利用者による不正利用の問題が浮上してきているため,VPNに利用単位を部門ごとに定義し,企業体系に柔軟に対応させたDVPN (Department VPN)の研究が盛んに行われている.一方,ネットワーク上を流れる動画像及び音声データの増加により,マルチキャスト技術に注目が集まっている.しかし,マルチキャスト技術を利用したデータ配送を既存のネットワーク上で実現するには,マルチキャスト対応のルータを使用する必要がある.現状の企業におけるイントラネット環境では,既存のルータをすべてマルチキャストルータに置き換えることは実装上現実的ではない.従来,マルチキャストサーバを利用して配下の端末へユニキャストで送信する方式が提案されているが,サーバへの負荷集中,トラヒックの増加及び集中等が問題となっている.そこで本論文では,DVPNを構成している端末側にパケットリレー機能をもたせることにより効率的なマルチキャスト通信の実現を可能とする,数珠つなぎ方式,及び拡張数珠つなぎ方式を提案する.また,提案方式の有効性を評価するために,新たにネットワークモデルを想定し,新しい評価基準を定義する.数値計算による評価から,提案方式ではパケットを数珠つなぎ的に端末間で受渡しをすることにより,従来のユニキャストによるデータ転送で問題となるサーバへの負荷集中や,トラヒックの増大及び集中を低減できることを示す.また,数珠つなぎ方式で問題となる遅延時間の増大も,経路途中の端末でパケットの経路分岐を実現する,拡張数珠つなぎ方式を用いることにより低減できることを示す.
社団法人電子情報通信学会の論文
1999-11-25

部門VPN構成下におけるマルチキャスト通信方式の提案とその評価

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク