データシンボルによる雑音低減を行ったマルチキャリヤ変調を利用する移動局端末測位(無線通信技術)

概要

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近年, 都市部などではGPS(Global Positioning System)衛星からの電波が届かない可能性があるため, セルラシステムを用いた移動局端末測位が注目されている. セルラシステムにおける測位では, 上りリンクを利用する方法と下りリンクを利用する方法が考えられるが, 一般に下りリンクにおいては共通パイロットチャネル(CPICH : Common Pilot Channel)が常時送信されるため, これを利用する下りリンクの測位が有効である. 一方, 第4世代移動通信システムでは, 高速な通信を実現するために広帯域な信号を利用する可能性が高いため, 周波数選択性フェージングに耐性がある直交周波数分割多重(OFDM : Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式に代表されるマルチキャリヤ変調が注目されている. マルチキャリヤ変調信号を用いた測位では, 共通パイロットチャネルの時間領域信号の相関を利用して電波到来時間を測定することにより端末位置を推定するが, 高い測位精度を得るためには遅延時間が最小の到来波を捕そくする必要がある. しかしながら, 基地局からの送信電力が一定であり, かつ, 移動局端末測位のための受信信号の測定時間が一定であると仮定した場合, 広帯域信号では, 狭帯域信号に比較して時間分解能が向上するために距離の測定精度も向上する反面, 非常に多くの遅延波(パス)に分解される. したがって, 各パスの受信タイミングの検出の際には, 各パスに対応する相関値が小さくなるため, 背景雑音や干渉の影響を受けやすくなる. そこで, 本論文では, 移動局端末の測位を行う際に, 背景雑音及び干渉の影響を軽減するために, パイロットシンボルだけでなく, 情報データシンボルも利用する方法を提案する. パケット単位でデータが伝送される場合, パケットにはARQ(Automatic Repeat Request)のための巡回冗長検査(CRC : Cyclic Redundancy Check)符号が付加される. CRCによりデータに誤りがないと判定された場合には, 情報データシンボルをパイロットシンボルとみなすことが可能である. そのため, 情報データシンボルを利用することによりパイロットシンボルが仮想的に増加するため, 移動局端末側で背景雑音及び干渉の影響を軽減することが可能である. また, 移動局端末測位のためだけに基地局から送信されるパイロットシンボル数を増加させることがないため, チャネル容量を減少させることはない. 計算機シミュレーションにより特性評価を行い, 提案方法では, データが正しく復号された場合に, 従来方法と比較して, 移動局端末測位精度が向上することを示す.
2005-08-01

データシンボルによる雑音低減を行ったマルチキャリヤ変調を利用する移動局端末測位(無線通信技術)

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