台湾の多文化家族の夫が妻から受ける虐待

概要

本調査研究は,台湾の多文化家族の夫が日常生活の中で妻から受けるHusband Abuseの頻度(潜在的ストレッサー)と夫の妻に対する否定的感情(ストレス認知)との関連性を明らかにすることを目的とした。調査には,台北市,高雄市,台北県,桃園県に在住する多文化家族の夫が参加した。調査内容は,属性(夫の現在と結婚時の年齢,宗教,学歴,収入,家族構成,結婚継続期間,妻の現在と結婚時の年齢,国籍,宗教,コミュニケーション能力),夫が妻から被る虐待(Husband Abuse)の頻度,妻に対する否定的な感情で構成した。回収された186人のデータ(回収率93.0%)を基礎に,多文化家族の夫が妻から被る虐待(7因子)を独立変数,夫の妻に対する否定的感情を従属変数とする因果関係モデルのデータへの適合性を,構造方程式モデリングで解析した。このとき,統制変数として夫の収入と妻のコミュニケーション能力を投入した。その結果,前期の因子別に検討した因果関係モデルはそれぞれデータに適合した。また,前記Husband Abuseの妻に対する否定的感情に対するパス係数は,「性的虐待」が0.704,「社会的虐待」が0.641,「心理的虐待」が0.597,「言語的暴力」が0.576,「身体的虐待」が0.496,「経済的虐待」が0.412,「ネグレクト」が0.358となっていた。潜在的ストレッサーがストレス認知に影響するというラザルスのストレス認知理論を前提にするなら,多文化家族のHusband Abuse問題を,社会福祉学的な生活ニーズと位置づけ,積極的に解消することの必要性が示唆された。

著者

中嶋 和夫 岡山県立大学保健福祉学部
中嶋 和夫 岡山県立大学
中嶋 和夫 岡山県立大学 保健福祉学部保健福祉学科
中嶋 和夫 静岡県立大学 短期大学部
中嶋 和夫 岡山県立大学・保健福祉学部・保健福祉学科
中嶋 和夫 岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科
中嶋 和夫 国立保健医療科学院 福祉サービス部
尹 靖水 梅花女子大学
黒木 保博 同志社大学
尹 靖水 梅花女子大学現代人間学部
中嶋 和夫 岡山県立大学・保健福祉学部
黒木 保博 同志社大学社会学部
百瀬 英樹 世信大学日本語文学系
黒木 保博 同志社大学社会学部社会福祉学科
中嶋 和夫 岡山県立大学保健福祉学部看護学科

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