韓国における多文化家族の親の生活問題と児にたいする不適切な育児行動の関連性

概要

本調査研究は,多文化家族の韓国人の父親と結婚移住女性(母親)を対象に,日常的に経験する生活問題と児に対する不適切な育児行動の関連性を明らかにすることを目的とした。調査対象は,韓国A・B道の多文化家族支援センター29ヵ所を利用する多文化家族の父親885名とC・D道の多文化家族支援センター11ヵ所を利用する多文化家族の母親1,150名とした。本調査研究では,Lazarusらのストレス認知理論とHillsonらの児童虐待発生モデルに基づき,韓国人の父親と結婚移住女性(母親)の生活問題(生活関連ストレスと育児関連ストレス)が児に対する不適切な育児行動を引き起こすと仮定した因果関係モデルを構築し,データへの適合性と変数間の関係性を構造方程式モデリングにより検討した。このとき,人口学的要因(本人の年齢,児の数,末子の年齢,家族形態)と個人特性要因(思いやり,コミュニケーション・スキル)を統制変数として投入した。結果,韓国の多文化家族の父親は育児関連ストレスが強いほど,また結婚移住女性(母親)では生活関連ストレスが強いほど,児に対する不適切な育児行動の頻度が高くなる傾向を示していた。以上の結果は,育児関連ストレスと生活関連ストレスで構成された多文化家族の生活問題を社会的な介入が必要な家族ニーズと見なし,そのニーズへの適切な対応が喫緊の課題であることを示唆している。

著者

中嶋 和夫 岡山県立大学保健福祉学部
中嶋 和夫 岡山県立大学
尹 靖水 梅花女子大学
黒木 保博 同志社大学
朴 志先 両備介護研究所
金 貞淑 慶尚南道経済通商課

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