台湾多文化家族の夫の日常生活に関連したストレス問題

概要

本研究は,台湾における多文化家族の夫を対象に,彼らの日常生活に関連した「苛々感(Irritated feeling)」(ネガティブなストレス認知)と精神的健康(ストレス反応)の関連性を明らかにすることを目的に行なった。調査対象は,台北市,高雄市,台北県,桃園県に在住する多文化家族の夫200人とした。調査内容は,属性(夫の現在と結婚時の年齢,宗教,学歴,収入,結婚に至った経過,現在の妻との結婚継続期間,ならびに妻の現在と結婚時の年齢,国籍,宗教,学歴,台湾語の習得状況),日常生活に関連した苛々感,精神的健康で構成した。回収された186人(回収率93.0%)のデータを基礎に統計解析を行なった。4種類の変数(夫婦の年齢差,夫の収入,結婚継続期間,妻の台湾語の習得状況)を統制変数とし,また夫の日常生活に関連した3種類のそれぞれの苛々感(下位因子:妻に対する否定的感情,家族・近隣に対する否定的感情,経済的な逼迫感情)を独立変数,GHQ-12で測定された精神的な健康状態を従属変数とする因果関係モデルのデータへの適合性を,構造方程式モデリングで解析した。その結果,前記の因子別に検討したそれぞれの因果関係モデルは統計学的に有意な水準でデータに適合した。統制変数の影響を考慮したときの多文化家族の夫の日常生活に関連した苛々感の精神的健康に対するパス係数の程度は,「妻に対する否定的感情」が0.376,「経済的逼迫感情」が0.271,「家族・近隣に対する否定的感情」が0.255の順であった。以上のことから,多文化家族の夫の精神的健康の維持・増進にとって,日常生活に関連したストレス問題を,社会福祉学的な観点からみた生活問題すなわち生活ニーズと位置づけ,積極的に介入することの重要性が示唆された。

著者

中嶋 和夫 岡山県立大学保健福祉学部
中嶋 和夫 岡山県立大学
中嶋 和夫 岡山県立大学 保健福祉学部保健福祉学科
中嶋 和夫 静岡県立大学 短期大学部
中嶋 和夫 岡山県立大学・保健福祉学部・保健福祉学科
中嶋 和夫 岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科
中嶋 和夫 国立保健医療科学院 福祉サービス部
尹 靖水 梅花女子大学
黒木 保博 同志社大学
尹 靖水 梅花女子大学現代人間学部
中嶋 和夫 岡山県立大学・保健福祉学部
黒木 保博 同志社大学社会学部
百瀬 英樹 世信大学日本語文学系
黒木 保博 同志社大学社会学部社会福祉学科
中嶋 和夫 岡山県立大学保健福祉学部看護学科

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