でん粉工場廃液の牧草地散布が牛乳乳質におよぼす影響ならびに廃液処理の検討

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馬鈴薯でん粉工場廃液を牧草地に散布した場合,その牧草を摂取した乳牛の乳質におよぼす影響ならびに廃液中の窒素化合物,カリウムの除去法について検討した。1)廃液中各成分濃度がもっとも高いのはデカンター廃液で,窒素,カリウムおよびリン含量はそれぞれ約2,000,2,800,300ppmであった。2)廃液中には一般細菌10^5〜10^8,大腸菌群10〜10^6/ml,その他サルモネラ菌,ブドウ状球菌もつねに存在するが,そのほとんどは土壌から移行したものである。3)廃液散布による牧草の生育,収量は増加するが,散布量によっては,牧草中に硝酸態窒素が蓄積され,カリウム,リン含量も多くなる。4)廃液散布牧草摂取牛群と対照牛群の合乳および個乳の一般性状,各成分組成間には有意差は認められない。しかし試験牛の乳汁のリン含量は若干高く,マグネシウムは低い傾向を示したが異常値ではない。また硝酸および亜硝酸態窒素はほとんど検出されなかった。5)廃液および牛乳中の各種細菌の存在状態を対比した結果,廃液散布による微生物学的な牛乳汚染は現時点では認められなかった。6)デカンター廃液中の窒素化合物は,70℃の加熱によって約40〜45%除去でき,年間約300トンの粗タンパク質が回収され,散布廃液の窒素濃度を25%低下できる。またデカンター廃液のイオン交換樹脂処理では,非タンパク態窒素化合物の約80%、カリウムの95%を除去できるが,工業規模での可能性についてはまだ問題がある。
帯広畜産大学の論文
1975-06-10

でん粉工場廃液の牧草地散布が牛乳乳質におよぼす影響ならびに廃液処理の検討

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