牛肉ホモジネートおよび筋漿の保存中におけるタンパク性化合物の変化
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概要
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屠殺後2日目にクエン酸-リン酸緩衝液で抽出した牛肉筋漿画分および同緩衝液で調製した牛肉ホモジネートを1±1°Cで屠殺後21日目まで保存し,筋漿タンパク質の沈澱性,筋漿画分の抽出性および溝成成分の変化を検討した.筋漿画分を低温(1±1°C)で保存すると,1週間目前後から筋漿タンパク質の沈澱が生じた.この沈澱物の大部分はホスホリラーゼ(PH)であったが,ほかにもエノラーゼ(EN),クレアチンキナーゼ(CK),グリセルアルデヒド-3-ホスフェイトヒドロゲナーゼ(GAPDH)およびラクテイトデヒドロゲナーゼ(LDH)などの筋漿タンパク質成分が含まれていた.このほかに少量ではあるが,新たに200-kDaの成分の出現が見られ,これは保存中に筋漿タンパク質が会合したものと考えられた.これらのタンパク質成分が保存中に沈澱する割合は,全筋漿タンパク質に対して,屠殺後7,14および21日目と保存日数経過につれて,5.6%,14.4%および16.9%と増加した.牛肉ホモジネートを保存すると,経日的に抽出される筋漿タンパク質は沈澱または分解によって減少し,筋漿画分を保存した場合よりも,減少量はわずかに多かった.遊離ペプチドおよびアミノ酸量は保存日数と共に増加したが,増加量は牛肉ホモジネートで保存した場合の方が筋漿画分で保存した場合よりも多くなった.しかしながら,筋漿画分で保存した21日目におけるペプチドおよびアミノ酸の増加量は,牛肉ホモジネートで保存した時の64%および40%に相当した.これらのことから,食肉の熟成中におけるプロテアーゼやペプチダーゼは筋原線維タンパク質ばかりでなく,筋漿タンパク質にも作用していることが明らかになった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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