グラム陰性桿菌に対するグリシンの抑菌作用
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概要
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グラム陰性桿菌9菌株を用いて,グリシンの抑菌作用を検討した結果,Ae. aerogenesAHU 1341株がもっとも感受性が強く溶菌現象を示した。そこで以下の実験にこの菌株を用いた。走査型電子顕微鏡像から,グリシンを添加しない培地で培養した正常な細菌の形態は,平均1.7×0.5μmの短桿菌であるが,1%グリシン処理した細菌では不規則的で,肥大化し,一部に崩壊したものも認められた。PGを単離し,正常菌と0.1%グリシン処理菌を比較すると,菌体重量に占める割合は,NPGでは1.8%,GPGでは0.6%であった。アミノ酸組成は,Glu,Ala,DAP比が,NPGで1,1.7,0.9であるが,GPGでは1,1.6,0.9で,この中にGlyが0.4含まれていた。N-末端アミノ酸は,Gluを100としたとき,NPGではAla4,DAP65で,GPGでは,Glu5,Ala18,DAP68であった。C-末端アミノ酸は,NPGでは,Ala58,DAP15,Gly4であったが,GPGでは,Ala41,DAP4,Gly26が検出された。また架橋度は,グリシン処理によって約23%阻害されていた。グリカンの平均鎖長は,NPGでは34,GPGでは47で,グリシン処理により糖鎖が延長された。CWの各アミノ酸は,PGを基準として,GCWは,NCWの約1/2程度になっていた。PGに結合している蛋白質の電気泳動では,NCWに5本,GCWに4本のバンドが認められた。これらの結果から,グリシンは,PGへ取り込まれ,一部はAlaと置換し,架橋形成を阻害し,グリカン鎖を延長し,さらにPGに結合している蛋白質にも影響をおよぼすものと考えられる。
- 帯広畜産大学の論文
- 1979-05-18
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