アルカリ処理による牛血漿タンパク質の性状変化について
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概要
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牛血漿タンパク質溶液のアルカリ処理におけるS-S結合の反応性が紡糸性と粘性に対してどのように影響するか検討した。1)牛血漿タンパク質溶液の紡糸に対する至適条件はpH11〜13で,血漿タンパク濃度は5〜7%であった。2)紡糸性を発現させるにはタンパク分子のunfoldが十分であることが第一の要因と考えられた。3)アルカリ溶液を添加した時の粘度の急激な上昇はタンパク分子のunfoldによるものと考えられ,血漿タンパク質の場合pH11.0〜11.5にあるものと考えられた。またpH11以下で24時間後に起る粘度の上昇はpH11以上で起る上昇と異なり,S-S結合交換反応もしくはタンパク質の水和性の増大によるものと思われる。4)β-解裂は1モルのシスチンより1モルのDHAを生成し,2/3モルのシステインを生成させる反応機構をとることが確かめられた。5)S-S結合の分解はpH13以内ではβ-解裂の方が優先的に起り,pH13以上でS-S結合の切断の割合が次第に高くなる。6)LALは紡糸条件を満すpH12.5,30℃において生成したが,pH11.8,30℃ではほとんど生成しなかった。またランチオニンは確認されなかった。7)アルブミンとγ-グロブリンとではアルカリに対してγ-グロブリンの方が反応性に富み,β-解裂およびS-S結合の切断の割合はともに高かった。
- 帯広畜産大学の論文
- 1981-11-15
著者
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