牛乳カゼインミセルの保存中における変化
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概要
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カゼインミセルを,牛乳塩溶液およびイミダゾール塩酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し,37℃および10℃で保存した場合,カゼインに内在すると言われる牛乳プロテアーゼのカゼインミセルに対する作用,特にβ-カゼインとγ-カゼイン区分の消長を検討した。i)各種条件の下でカゼインミセルを保存した時,2%TCA可溶性のNPNの増加量は,10℃10日間よりも37℃3日間の場合が多く,また牛乳塩溶液よりもイミダゾール塩酸緩衝液中で保存した場合が多い。しかしこの時の増加量は最高でも12.5%であった。本実験は防腐剤として,0.02%メルチオレイトナトリウムを加え,細菌の発育を抑えているので,これらのことはカゼインミセル中に存在する牛乳プロテアーゼによるものと考えられる。ii)カゼインミセルのPGEパターンによると,α_s-およびβ-カゼインは経時的に減少しており,特にβ-カゼインは37℃3日間保存で,ほとんど消失した。一方γ-カゼイン区分では,TS-およびγ-カゼインのバンドが経時的に増加した。DEAE-セルロースクロマト法によると,TS-およびγB-カゼインが増加していた。iii)上澄液のPGEパターンおよびDEAE-セルロースクロマトグラムから,カゼインはほとんど存在せず,このため可溶性のカゼインおよび分解産物の変化は検索できなかった。iv)牛乳プロテアーゼによる分解産物は比較的高分子であり,カゼインミセル中に存在した。この酵素の活性は,イミダゾール塩酸緩衝液中よりも,牛乳塩溶液中においてNPN増加量が少ないことから,牛乳中ではさほど高くはないが,γ-カゼイン区分の形成に関与している可能性が考えられる。
- 帯広畜産大学の論文
- 1977-11-25
著者
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