ウシ正常乳,初乳と乳房炎乳中のオロチン酸濃度について
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概要
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セファデックスG-10による吸着クロマトグラフィーによって,牛乳中の核酸関連物質の分析を行い,正常乳,初乳,乳房炎乳について比較した.正常乳ではオロチン酸が主成分で,49.8±13.8μmole/100ml(脱脂乳)(min.34.4,max.74.9μmole/100ml)含まれていた.初乳にはオロチン酸はほとんど含まれず,ウリジン誘導体が多量に含まれていた.その濃度は分娩2日目の30μmole/100mlから4日目の20μlmole/100mlへと急激な減少がみられた.それと同時にオロチン酸濃度は除々に増加した.乳房炎乳(CMT変法での陽性乳)では,含まれている核酸関連物質の種類は,正常乳とほとんど変わらないが,オロチン酸濃度に明瞭な減少がみられ,34例のオロチン酸平均濃度は18.3±8.4μmole/100ml(min0.0,max.37.4μmole/100ml)であり,正常乳との間に有意差が認められた.個体間でのオロチン酸濃度の差は無視できないが,同一個体の分房乳ではCMT変法による陰性乳と陽性乳とで有意の差が認められた.本方法の特徴としては,除タンパク操作の不要なこと,クロマトパターンの比較で初乳,常乳の区別が可能なこと,さらに乳房炎乳検出の一法として有用であることなどが考えられる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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島崎 敬一
帯広畜産大学 家畜生産科学科 酪農化学研究室
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祐川 金次郎
帯広畜産大学家畜生産科学科酪農化学教室
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島崎 敬一
帯広畜産大
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佐々木 正人
帯広畜産大学酪農学科
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島崎 敬一
帯広畜産大学酪農学科
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