二次元電気泳動,疎水クロマトグラフィーおよびゲルろ過クロマトグラフィーによるチーズ熟成過程追跡への応用 : チーズの電気泳動・クロマトグラフィー
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概要
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ゴーダチーズの各種成分について,二次元電気泳動,疎水クロマトグラフィーおよびゲルろ過クロマトグラフィーを行ない,熟度との関係を調べた。疎水クロマトグラフィーには0.01M燐酸緩衝液(pH8.0,含1M硫酸アンモニウム)で平衡化したブチルトヨパール650Cを用い,硫酸アンモニウム濃度を段階的に減少させてタンパク質・ペプチドを溶出させた。脱脂乳では硫酸アンモニウム存在下でまずホエータンパク質が溶出し,脱イオン水でカゼインが溶出した。チーズは熟成日数が増加するに従い,非吸着成分即ち疎水性の弱い成分が増加した。これはカゼイン分子から生じたフラグメントと考えられる。ゲルろ過クロマトグラフィーにはHPLC用カラムTSKgel G2000SWを用い,0.05M燐酸緩衝液(pH6.5,含0.1M硫酸ナトリウム)で溶出を行なった。その結果熟成が進むに従いカゼイン分子の分解により生じた低分子量成分の増加が観察された。これらクロマトグラフィーは,熟成の定量的な尺度として用いることが可能であると考えられる。さらに等電点電気泳動とSDS電気泳動を組みあわせた二次元電気泳動を行なう事により,各カゼイン成分の消長が明らかになった。これら3種の方法はいずれもチーズの熟成過程の解析について非常に有用なものであり,複数の方法を組みあわせる方が単独で行なうよりもさらにそれらの機能を有効に発揮出来るものと期待される。
- 帯広畜産大学の論文
- 1988-06-30
著者
-
島崎 敬一
帯広畜産大学 家畜生産科学科 酪農化学研究室
-
忠見 美代子
帯広畜産大学,家畜生産科学科,酪農化学研究室
-
内田 雅行
帯広畜産大学,家畜生産科学科,酪農化学研究室
-
島崎 敬一
帯広畜産大
-
内田 雅行
帯広畜産大学 家畜生産科学科 酪農化学研究室
-
忠見 美代子
帯広畜産大学 家畜生産科学科 酪農化学研究室
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