A君が「と・け・い」と伝えてくれるまで : 小学校障害児学級における知的障害と言語発達遅滞のある児の事例から

概要

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障害児学級に在籍するA君は知的障害と言語発達遅滞を併せ持つ小学4年生の男児である。山下はA君の言語表出の発達を目指して,週2回の個別の学習である「一人でべんきょう」において個別の対応をし,かかわりを持った。山下とA君との関係の深まりからかかわった期間を3つに分けることができる。第1期では,山下の「○○させる」という立場からA君との関係が悪化する。第2期では徐々に仲良くなり,一緒に活動することが多くなり,それにともない誘う場面や言葉掛けが増えてくる。第3期では個別時間の増加したことから,さらに仲良くなりA君は積極的に声を掛けてくれたり,個別で取り組んだ言葉を使用してくれたりしている。この変化は,山下の「○○させる」→「課題を一緒に取り組む」→「課題を楽しく取り組む」という態度の変化が大きく鍵を握っていると考える。山下との関係が深まったことで,A君が自発できる言葉も増えたり,個別学習で取り組んだ言葉が日常使われるようになった。個別学習の重要性と個別対応時のかかわり手の態度が言葉の成長を促すように思われた。
北海道教育大学の論文
2000-02-10