年長自閉症児者の生活状況とその将来に関する調査
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概要
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15歳以上の義務教育課程終了後の年長自閉症児者の生活状況と将来について,親へのアンケート調査並びに面接を行なった。アンケート対象者232名,回収数116名,回収率50%で,面接対象者は6名であった。その結果自閉症児者の年齢は15〜28歳,平均18.5歳,処遇状況は施設入所者52名46%,高等養護学校在学者26名22%,授産所・作業所通所者14名12%,就職者10名9%,自宅在宅者8名7%,病院院内学級入院者4名3%,普通高校在学者2名2%であった。生育歴,教育歴をみると,自閉症と診断された年齢は3歳〜4歳未満が最も多く,幼稚園,保育所入所者が80名あった。就学猶予は21名,小学校では普通学級入組経験者は50名,情緒障害学級83名,精神薄弱学級38名であった。中学校では普通学級12名,情緒障害学級39名,精神薄弱学級42名となっている。養護学校では,小学部12名,中学部30名が経験しており,年齢がすすむにつれて,より限定された処遇状況に移る傾向がみられた。義務教育課程終了時点と,現在の生活能力の比較では,身辺自立と対人関係の面で改善ありとされるものが半数をこえるものの,ことばの面では変わらないものが多くみられる。問題行動について,5歳時と現在と比べると,多動と偏食に,顕著な減少がみられるものの,こだわり,常同行動,感覚の異常はやや減少するが,変化は少ない。親の願いをみると,義務教育課程終了終の教育などの充実と,終身安心してすごせるような施設の設置がもっとも強く望まれている。施設処遇群,高等養護学校群ともに,現在の処遇に満足しているものが多いが,さらに,教職員の自閉症に対する理解を深めてほしいとの要望も出されている。本調査は,北海道情緒障害児者父母の会(会長 田中勝廣氏)との共同研究として行なわれたものである。
- 1986-03-15
著者
-
古川 宇一
北海道教育大学旭川校
-
設楽 雅代
市立札幌病院附属静療院児童部
-
今川 民雄
北海道教育大学旭川分校
-
坂内 克裕
北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程
-
設楽 雅代
市立札幌病院静寮院
-
今川 民雄
北海道教育大学旭川校
-
坂内 克裕
北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程:根室市立北斗小学校
-
今川 民雄
北海道教育大学
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