シイタケ菌糸体の熱耐性に及ぼすトレハロースの効果

概要

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シイタケ栄養菌糸体の熱耐性に及ぼすトレハロースの効果について検討した.シイタケ菌糸体を熱処理(39℃, 48時間)した後,5%トレハロース培地で培養した菌糸体は,処理後7日目に菌糸の再伸長が確認された.しかし,PDA培地で培養した菌糸体では,10日目まで菌糸の再伸長が見られなかった.菌糸体のトレハロース含量は培地中のトレハロース濃度に比例して上昇した.さらに,菌糸体中のトレハロース含量は菌糸体をトレハロース溶液に浸漬することで効果的に高めることができた.菌糸体のトレハロース含量は浸漬時間に伴って上昇し,1Mのトレハロース溶液に浸漬して1日後に最高値(約300mg/g乾燥菌糸体)に達した.走査型電子顕微鏡の結果より,トレハロース含有培地で培養した菌糸体は,39℃,48時間の処理の後もトレハロースを含まない培地で培養した菌糸体と比べてハリのある菌糸の広がりが見られた.以上の結果は,トレハロースがシイタケ栄養菌糸体において熱処理に対する保護物質として働いていることを示している.
日本きのこ学会の論文
2006-04-25