トマト果実の表面汚染菌と内部潜在菌による流通中の品質劣化について

概要

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1)外観健全なトマト果実の表面汚染菌と潜在菌は輸送,貯蔵中の劣化と密接な関係にある.そして,潜在・汚染菌の数および劣化活性に関与する劣化要因として(1)栽培法(2)果実の熱度,きず,接触状態,品種,(3)流通時の温度などがある. 2)ハウストマトの生菌数は露地トマトに比べいくらか多い.これは空中落下菌数と関連があるものと考えられる.3)トマト果実に劣化を示した菌種はAlternaria, Aspergillus niger, Asp. oryzae, Cladosporium, Fusarium, Mucor, Penicillium, Trichoderma, Trichothecium roseum,などのカビ及びBacillus, Erwinia, Pseudomonasなどの細菌であった.4)細菌を有傷接種したトマトにカビが発生し,劣化する場合が多い.これはトマトではpHなどの関係で細菌よりもカビが生育しやすい環境にあり,劣化活性も比較的強いためであろう 5)最も劣化を受けにくかった品種は"米寿"であった.6)保存料,ビタミンおよびアミノ酸などの類縁物質による収穫直前の噴霧処理は,in vitroの胞子発芽抑制試験の結果とほぼ一致し,DL-エチオニン,リボフラビン,ビタミンB^1ラウリル硫酸塩(ビタゲンAs-2),ソルビン酸カリウムなどは劣化を抑制した.
近畿大学の論文
1988-03-20