ヒイロタケの産生する色素(第一報) : 色素産生条件,物理化学的性質と抗菌性
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概要
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[Author abstract]In generally HIIROTAKE (Trametes sunguined) is known as a saprophyte of a wood. Polyporin that was reported by Bose (1946) were thought different components to over pigments on the properties. We examined on the cultural conditions (inorganic salts, temperatures, light and water) physical and chemical properties, antibacterial activities of the pigments. As resuts of the examination, we may conclude that obtain a best amounts of the pigments a addition of MgSO_4・7H_2O and KC1, 27°~37℃ in the dark, and solubility of the pigments was a maximum on pH 9.6 at 20℃ in ethanol and also the pigments was separated the four components by Thin Layer chromatography. Stability to the ultraviolet ray irradiation found the fading rate 35% for 24 hours, and Tartrazine was 10% in the same conditions. Concerning with the antibacterial activities, mycelium of HIIROTAKE took precedence with bacteria, and occasionally showed obvious bacteriostatic activities on the serial dilution method, but careful consideration should be given to these problem.[要約]①ヒイロタケ菌糸発育、色素生成に関して、7種(麦芽寒天培地、2%グルコース加用ジャガイモ煎汁寒天培地、Czapeak-Dox培地、Czapeak-Dox+N源培地、Czapeak-Dox変法培地、混合培地、混合培地 +MgSO_4・7H_2O+KCl)の培地を用いて特に色素生成の良好なる培地の選択と色素生成の至適温度、および明暗の影響について検討した。短期間培養では、2%グルコース加用ジャガイモ煎汁寒天培地が最も良好で温度は28°±1℃であった。長期培養では混合(MgSO_4・7H_2O+KCl)培地、麦芽寒天培地が良好で温度はやはり、28°±1℃であった。。高温度では(37℃以上)では菌糸発育は良好だが、色素生成が極めておそい。明・暗所の差は暗所に色素生成が多く見られた。混合培地にMgSO_4・7H_2O、KClを添加したものは27°~30℃、暗所が色素生成が良好である。②ヒイロタケ色素の溶媒に対する溶解性は、エチルアルコール(99.5vol%)で完全ではないが、比較的溶解性大であり、また水で適当な条件を加えれば、かなりの溶解性を示すことを認めた。本色素は酸性よりもアルカリ性、特にpH(9.2~9.6))に於て、いちじるしい溶解性を示したが、温度との関係も重要で、アルカリ性で橙色~赤橙色を示し、安定なpH域は8.8付近である。③ヒイロタケ色素の化学的相性では、薄層クロマトグラフィー法、吸光度試験の結果より色素の種類を推定した。吸収スペクトルを可視部、紫外部について試験した結果、314mμ, 426mμ; 付近に極大吸収スペクトルを示した。又色素のTLCにより4スポットが得られ、それらの紫外部吸収スペクトルを調べた結果、214mμ, 216mμ, 219mμ, 221mμに極大吸収が認められた。カビの産出する色素のキノン(p-キノン)はアルコーに溶解性であること、および極大吸収波長等からキノン核を有した物質が本色素に含まれているのではないかと推定される。先に述べたように糸状菌から得られる色素にはキノン系化合物が多い事と、高等植物や、地衣類の色素と関連があることが、特徴である。特にアントラキノン系のChrysophanolの側鎖のメチル基、あるいは核の水素が酸化されて生ずる一連の色素が多い^<14, 15)>。さらにヒイロタケ菌糸培養沪液中から得られた抗生物質「 Polyporin」もキノン核をもつと思われるし、またこれら色素を、FLANK等がヒイロタケと同属のPolyporus rutilans^<16)>からも分離している。④ヒイロタケ色素の安定性に関する実験では、熟に対しては、比較的安定で、著るしい退色は示さなかったが、光に対して、特に紫外線に対しては、24hrsで約35%の退色を示した。⑤ヒイロタケ色素は、天然色素から得られる着色用添加物として利用できるかもしれない。また抗菌性の利用についても今後さらに検討の余地がある。4%エチルアルコール抽出、液体ブイヨン培地上で抗菌性を示し、4%エチルアルコール単用および水溶性色素の抗菌性は共にいくらか認められることはアルコールと本色素の相乗効果があるとも考えられる。また、2%グルコース加用ジャガイモ煎汁寒天培地上で十字線法、一字線法により、ヒイロタケ色素と細菌の対時培養の結果、ヒイロタケ菌糸の発育が優勢であった。S. aureus, P. fluorescens, B. subtilis, B. mesentericus, E. coli、共、赤かっ色のかく線を生ずるか、あるいは著しい桔抗現象を示した。いずれにせよ、本色素は極めて複雑な色素であって、今後の研究によって、一層興味ある知見が得られるであろう。
- 近畿大学の論文
- 1971-03-15
著者
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