赤キャベツのアントシアニン色素について : 天然色素の利用に関する研究(第1報)

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天然色素の利用を目的として,赤キャベツから抽出した赤色色素についてその分離,ならびに若干の同定を行ない以下のような結果を得た。1.細断赤キャベツ890gから,色素鉛塩55.8gが得られ,この鉛塩から遊離させた色素はTLCで鉛塩としない粗色素と同一のパターンを示した。2.色素をアビセルSFの薄層上でn-ブタノール:酢酸:水=4:1:2の溶媒で展開した。その結果5本のバンドが認められ,Rf値の小さい方からA-1〜5とした。分離色素は,再TLCで単一のバンドを示した。3.吸収スペクトル測定の結果,シアニジン系の色素であると推定され,A-1以外は,アシル化色素であると認められた。また,紫外部の吸収と可視部の吸収の比から,Rf値の大きなバンドほど,有機酸の割合が多くなっていることが認められた。4.各バンドの相対的割合ほ,525nmでの吸光度からA-1:14.3%, A-2:46.1%, A-3:18.9%, A-4:16.3% A-5:4.4%でA-2が約1/2を占めていた。5.水酸化バリウムによる加水分解の結果,アグリコンはシアニジンであることが認められた。また色素の構成成分の一つである有機酸の一つは,フェルラ酸もしくはシナピン酸であり,他の一つほP-クマール酸であると推定された。6.構成糖はグルコースのみが見い出されたが,その結合状態までは同定出来なかった。しかしRf値からマルトース,セロビオース,ゲンチオビオース,ソホロース以外であることが判明した。
1976-10-31

赤キャベツのアントシアニン色素について : 天然色素の利用に関する研究(第1報)

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