南極オキアミの熱風煮熟処理について
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概要
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南極オキアミ (オキアミ) の食用向け姿身製品を生産するための海水煮熟処理は, 鮮度低下, 自己消化, 黒変等を防止する手軽な方法として用いられているが, 有用成分の溶失, 食塩の浸透, 処理エネルギーが多い等の不利点もある。そこで, それらの不利点を解決し, オキアミをより有効に利用するために熱風煮熟処理を考案した。以下は, 船上処理への基礎データを得るために行なった試験機での試験結果を海水煮熟処理と比較した結果である。<BR>1) 熱風煮熟処理試験機は, ヒーター部 (1.5kW/hr), 送風部 (2m3/min), 処理部 (〜400g/回) 等からなるものである。試験時の熱風温度は180℃とし, 1〜7分間処理を行なった。また, すべての系は密封して熱風を循環させ, 乾燥による歩留り低下を防ぐとともに, 純水を連続的に添加しながらの処理も行なった。<BR>2) 製品歩留りは5分の処理で海水煮熟処理が92%, 熱風煮熟処理の熱風のみの処理が58%, 純水を添加 (3ml/min) しながらの処理が80%であった。それに対して固形分歩留りは同じく5分の処理で熱風煮熟処理のほうが7%以上高く94% (熱風のみも純水添加も同一) であった。<BR>3) 煮熟効果 (タンパク質の不溶化, 黒変の防止) は, 海水煮熟処理がわずかに高く, 速かったが, 実用上の問題はないと考えられた。<BR>4) 海水煮熟処理では処理中に食塩が浸透し, 3分の処理で生の約3倍 (2.6%) にまで含有量が上昇した。熱風煮熟処理は当然浸透はない。<BR>5) オキアミ1,000kgを加熱処理するためのエネルギーを算出したところ, 海水煮熟処理がA-重油使用量で約62kg (現場での平均値は65kg) であるのに対して, 熱風煮熟処理は, 乾燥防止のため真水を10%添加したとしても, 13.0kgでよく, 燃料費を1/4以下におさえられる結果となった。<BR>上記の結果から, 熱風煮熟処理の有用性がうかがえたが, さらに窒素歩留りや品質等の検討を加える必要がある
- 社団法人 日本栄養・食糧学会の論文
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