ヒトの対象物保持タスクにおける多種運動情報による感覚運動統合と視覚運動変換(「手」及びヒューマン情報処理一般)

概要

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霊長類の頭頂間溝領野でコードされている対象物の特徴の一つである「向き」に着目し, ヒトの対象物保持タスクにおける視覚情報と多種運動情報を統合することによる対象物の内部表現の獲得(感覚-運動統合)及び内部表現に基づいた視覚-運動変換を実現するニューラルネットワークモデルを提案する.モデルの構築に先立つ心理物理実験では, 異なる5つの向きに設置した正三角形の物体に対するTripod Graspにおける運動情報(把持位置, 指先力)から対象物の「向き」に関する情報が抽出された.また, 拘束された把持位置よりも被験者が自然に選択した把持位置において総把持力が小さくなった.視覚情報と多種運動情報を統合する5層の砂時計型ネットワークに, 実験データを用いて十分に学習させた後, 中間層に対象物の向きに関する圧縮された情報表現(内部表現)を獲得した.さらに, 学習後のネットワークは総把持力を目的関数とした単純な力学的な最適化問題を解くことで, 内部表現に基づいた視覚-運動変換を実現した.これらの結果は, ヒトの内部表現に基づいた視覚情報から多種運動情報への変換の計算可能性を示す.
社団法人電子情報通信学会の論文
2005-10-13