ディベート競技の論脈を検証する基本的手続き
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概要
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討論区や論争において, その脈絡を明瞭にすることは極めて重要である.本論文は, 対話と対話との間にある理論的な筋道を明確にすることを目的として, 論脈という新しい概念を導入した.対話(論)を命題に対応させると, 論脈は命題と命題との間の論理的な関係とみなせる.命題とは「判断を言葉で表したもの」であり, 論脈は「言葉で表された判断の脈」である.換言すれば, 論脈とは, 論の文章の文脈のことであり, 小説などにおけるいわゆる文脈とは異なり, 文章の中にある論-判断それ自体の脈をより直接的に見るものである.多くの討論, 論争は, 論脈のずれの上に成り立っているのを見る.つまり, それが正されると, 多くは討論そのものが成り立たなくなるであろう.このずれにはある法則がある.討論者は無自覚のうちにその法則にしたがって, 論脈をずらして多くの討論, 論争を行っている場合が多い.すなわち, そこでは, 対する二つの論の間に, 似て非なる主語, 述語が用いられる.主語においては, 修飾語の有無が問題になる.述語においては, その語幹が問題になる.本論文は, ディベート競技を取り上げて, 対立する二つの論の間の論脈を抽出・検証するための基本的な手続きを提案する.論脈を検証するには, 対話文中にある立論および反論の抽出手続きと, 両者の間にある脈の検証手続きが必要である.脈の検証手続きは, 立論・反論における命題の語照合によって行われる.語照合が一致しない命題の間の脈は切れていることになり, その脈による命題は成立しないことになる.本稿では, 論脈検証の実行手続きを述べるとともに, 例題を掲げて, ディベート競技の論脈が, 実行手続きによってどのように検証されるのかを示す.
- 2001-03-01
著者
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