選択MOVPEによる双方向WDM通信用光集積素子

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マルチメディア社会の実現に向けて、加入者向け双方向光通信システムの検討が活発に行われている。特に加入者までの光化を達成するためには、各加入者において設置される双方向通信用光端末がキーデバイスとなる。こうした加入者端末では、送受信機能、波長弁別機能を有する光集積素子を、いかに低価格で提供できるかが重要なポイントである。これまでに、エッチング/結晶再成長を繰り返す工程を用いたモノリシック集積素子が報告されている。しかし、こうした方法では作製工程が複雑になるため高歩留まりの実現が難しく、製造コストを下げるのは困難である。一方で、WDMカップラが形成された石英基板上にLD、PDといったコンポーネントをハイブリッド集積した素子も報告されており、石英導波路特有の超低損失性を反映した良好な特性が得られている。我々が提案するモノリシック光集積素子は、ハイブリッド素子に比べて位置合わせ調整を要するコンポーネント間の接続点をさらに減少しようとするものであり、独自の選択MOVPE技術に基づいている。選択MOVPE技術は、誘電体ストライプマスクを用いて導波路構造を選択成長により形成する方法であり、(1)導波路側面が平滑な結晶面であるため半導体光導波路として非常に低損失、(2)導波路形状がマスクのパターニングと結晶成長のみで規定されるので高均一、(3)マスク幅によるバンドギャップエネルギー制御が可能なため、活性層/光吸収層と受動導波路層を一括形成でき、作製プロセスが簡単な上に接続点での結合効率がほとんど100%、といった優れた特徴を有する。この方法を用いればモノリシック集積素子を単体LD並みのコストで作製することができ、将来の加入者系光通信の実用化にとって非常に有効であると考えられる。本発表では、選択MOVOEを用いた、双方向WDM通信用光集積素子へ向けた我々の取り組みについて述べる。
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-09-05

選択MOVPEによる双方向WDM通信用光集積素子

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