牧草サイレージの好気的変敗が栄養価におよぼす影響

概要

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牧草サイレージの好気的変敗が,その栄養価におよぼす影響を,乳牛におけるエネルギーと窒素の利用効率の変化を中心に検討した.すなわち,開封後サイロ内で表層から好気的変敗を生起した牧草サイレージを,変敗区分(AD-サイレージ)と未変敗区分(対照サイレージ)に二分し,これらについて乾乳牛3頭による消化試験,窒素出納試験および呼吸試験を行い,養分損失を比較した.AD-サイレージは外気曝露された3〜7日内に発熱が顕著(37.3〜56.8°C)となった区分で,これとともにpH上昇,有機酸含量低下,揮発性塩基態窒素含量増加の傾向が示されたが一般化学組成には大きな変化はなかった.AD-サイレージの乳牛による消化率は,粗脂肪を除く各成分について明らかな低下が認められ,とくにNFE消化率の低下が著しかった.また,AD-サイレージ摂取時には糞尿中への窒素排泄の増加にともなって,窒素蓄積の減少が認められた.さらに,AD-サイレージ摂取時の乳牛ではメタボリック•ボディ•サイズあたりのO2消費量,CO2産生量および発生熱量の増大傾向が明らかで,エネルギー正味利用率の低下が示唆された.
社団法人日本畜産学会の論文