小麦稈のN分画・化学組成およびメン羊による消化性と採食性に与える無水アンモニア処理の効果

概要

論文の詳細を見る
麦稈小型梱包154個(Ex.1)と227個(Ex.2)に加水処理した後,無水アンモニアをDM当り約3%(Ex.1)と3.2%(Ex.2)注入処理し,1か月間常温で密封貯蔵した。処理後スタックの上段褐色部・内部・底部梱包からの採取試料におけるN分画と化学組成の調査と(Ex.1),貯蔵期間中のスタック内温度変化を測定した(Ex.2)。処理麦稈と無処理麦稈の消化性・N蓄積を比較検討するために,各麦稈に対し乾草をDMで等量混合した飼料を用いメン羊による飼養試験を実施した(Ex.2)。両麦稈の採食性比較試験を乾草の制限給与としながら,メン羊を麦稈馴致群と未馴致群に分け実施した(Ex.2)。アンモニア注入と同時にスタック内温度はアンモニアと水分との反応熱により急上昇し最高57℃に達したが,注入80時間後には外気温より10℃高い程度に納まった。アンモニア処理により麦稈N量は0.97〜1.63%増加し,増加N量の内NH_3-Nが60%,アマイドーNが9〜12%を占めた。NDF-N・ADF-Nがアンモニア処理により増加し,NDFとヘミセルロース含量は減少した。N回収率は約60%(Ex.1)と37%(Ex.2)となった。処理麦稈混合区(Tr区)ではDM・CP・NDF消化率が無処理麦稈混合区(Co区)1.4倍増加し,有機物・粗繊維・ADF・エネルギー消化率は1.3倍増加した。N蓄積量はTr区がCo区より多かった。麦稈摂取量は処理麦稈の方が無処理麦稈より多く,さらに麦稈馴致メン羊は未馴致メン羊より50%多く処理麦稈を摂取した。これらのことから,大規模スタックに対しアンモニア処理を施してもアンモニアガスは万遍なくスタック内に拡散し,麦稈の飼料価値が改善されることが確認された。アンモニア処理麦稈は,常用される粗飼料の一部を充分代替しうると考えられる。
1984-12-25

小麦稈のN分画・化学組成およびメン羊による消化性と採食性に与える無水アンモニア処理の効果

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク