吸収後状態を中心とした絶食時の代謝と第1胃発酵の変化

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1.絶食の経過に伴なう乳牛のガス代謝,第1胃内性状,尿性状などの変化を同時に観察し,吸収後状態に到達する時期を確め,安静時代謝に対して絶食時代謝(基礎代謝)が占める相対的な割合を測定した。2.乾乳牛(パーマネントフィステル装着)を二次にわたり延べ3頭用い実験した。それぞれ牧乾草のみを与えて予備飼養の後,諸測定を安静後に3日間,絶食時に8日間(最後の給飼より180時間まで)行った。その後乾草を徐々に増量し,10日間にわたり回復時の諸測定を行った。3.心肺機能は絶食3〜4日目まで著しく低下したが,その後次第に安定した。CH_4は絶食3日目まで急激に減少した後,漸減した。絶食8日目においても安静時の値の1〜2%を検知した。RQは急減の後,絶食3〜4日目頃から0.7前後の値を示した。熱発生量は絶食2日目まで急減し,その後おおよそ斎一に漸減した。4.第1胃内のプロトゾア数,VFA産生量は絶食5日目まで著しく減少したが,その後やや一定した。VFAモル比は,5日目頃まで,プロピオン酸,酪酸は急減し,これに反し酢酸は急増し,n-バレリアン酸は徐々に増加したが,その後それぞれの割合はやや一定した。pHは絶食3〜4日目まで上昇し,その後8前後の値を保った。5.一般に絶食の4〜5日目あたりを境として,その後発酵は著しく減少するが相変らず持続されていることを示した。絶食8日目においてルーメン内に1.6kgの乾物の存在を認め,粗繊維の割合が多くなっていた。6.尿量,尿中全N量は絶食の進行とともに減少し,pHは4日目から酸性に移行した。7.尿中尿素は5日目から減少し,またNH_3は急減の後,3日目から漸減した。アラントインは第1日目に減少した後,おおよそ一定の値を示した。クレアチニンは絶食4日目に急増の後,ほぼ一定の高い値を示した。8.以上の結果から,吸収後状態は絶食4日目(最後の給飼後84時間)までに到達したと推定された。また絶食4日〜8日目までの熱発生量の平均をもって基礎代謝量を示すとみなすと,それは1.47±O.17kca1/kg ^<3/4>/30分となり,安静時代謝量(1.88±0.14)の78%に相当した。
帯広畜産大学の論文
1974-09-25

吸収後状態を中心とした絶食時の代謝と第1胃発酵の変化

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