成型乾草の調製過程における飼料特性の変化に関する研究

概要

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1.成型乾草の調製過程が消化性ならびに蛋白質の利用に及ぼす影響および日乾乾草とヘイウェファー,ヘィキューブの飼料価値を比較検討するために,オーチャードグラス主体混播牧草とアルファルファについて,メン羊を用い,消化率,窒素出納試験,消化管内通過速度ならびに第1胃内性状を調べた。2.切断,加熱,圧縮成型の工程において原料草と比べて,いくぶんかの粗蛋白質含量の損失がみられたが,オーチャードグラスの場合,この損失は日乾乾草が大きかった。加熱処理をすると日乾時に比べ,全窒素に占める蛋白態窒素の割合は高く,水溶性窒素の割合は低下し,AD不溶性窒素含量は高くなった。3.切断,加熱,圧縮成型により,可溶無窒素物は高い値を保ったが,粗繊維,CWC,ADFの含量はいずれも低下した。4.オーチャードグラス,アルファルファともに乾物,有機物,エネルギーの消化率はキューブが他の処理に比べてやや低下した。5.粗蛋白質の消化率はオーチャードグラス,アルファルファともに,切断,加熱,成型処理により低下し,オーチャードグラスでは純蛋白質の消化率も同様な傾向を示し,とくにキューブは低下の割合が大きかった。6.粗繊維,CWC,ADFの消化率はオーチャードグラスでは日乾処理草に比べて加熱処理草が高かったが,キューブでは有意差はみられなかった。アルファルファではキューブは日乾乾草に比べて低下した。7.TDN,DEはオーチャードグラスではキューブを除いた加熱処理草が日乾処理草に比べて高い傾向を示したが,アルファルファではかならずしもそうでなかった。オーチャードグラスではDCP,DTPは飼料間に大差なかった。8.窒素蓄積量はオーチャードグラスの場合,各処理間にかならずしも大きな差はなかったが,キューブの場合,若干低下した。アルファルファも同様に低下した。蓄積率(対摂取,対可消化窒素量)もキューブの場合,低下した。9.切断・人工乾草,ウェファー,キューブを給与した時,VFA濃度は急速に増加し,pHはそれに対応して急速に低下した。10.第1胃内可溶性窒素,アンモニア濃度は加熱処理草が低下した。11.人工ルーメンによるアンモニア濃度においても,加熱処理をすることにより明らかに低下した。12.以上のことから,切断,加熱,圧縮成型により,成分含量の損失は比較的少なかったが,蛋白質に熱変性が生じ,溶解性の低下と微細化の物理的要因が相まって,蛋白質の消化性,利用性に影響するものと考えられる。
帯広畜産大学の論文
1977-11-25

成型乾草の調製過程における飼料特性の変化に関する研究

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