粗飼料の形態のちがいが消化率,ルーメン発酵および消化管内滞留時間に及ぼす影響

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1.同一圃場の牧草からえられた日乾乾草,キューブ,ウェハーおよびサイレージを成雌乳牛に与え,調製時の切断や破砕による物理的形態の違いが,消化管内通過速度とルーメン内発酵におよぼす影響をしらべ,消化率との関連を検討した。2.乾草は一般に消化率は高く,とくに粗蛋白質,粗繊維,エネルギーにおいて高かった。サイレージの粗蛋白質の消化率は乾草と差はみられなかった。DCPはサイレージが最大で,キューブ,ウェハーは低かった。TDN,DEは乾草が大でその他の飼料はそれ程差がなかった。3.染色飼料により測定した各飼料の消化管内通過時間は,乾草63時間,キューブ54.5時間,ウェハー59.5時間,サイレージ61.7時間で,破砕度の高い飼料の方が通過速度が早く,かつ粗繊維の消化率が低いことと一致した。4.PEGによる通過速度は,各飼料間の差はそれほど多くなく,各飼料とも20時間前後に多量の排泄を示し,PEGは染色飼料よりも約30時間早く,飼料全体の移行というよりも液状部分の移行を示しているようであった。5.キューブ,ウェハーを給与した時はVFA生産の急増とpHの急低下がみられ,発酵が急に進むようであった。またVFA生産量のモル濃度比の変化は,乾草では酢酸の減少とプロピオン酸の増加がゆるやかであったが,その他の飼料は酢酸の急速な減少とプロピオン酸酪酸の増加が顕著であった。6.アンモニア濃度はキューブ,ウェハーの方が乾草の1/2程度であった。これは流出が速いため分解をうけることが少ないこと,加熱処理による蛋白質の変性のためアンモニアの発生が少なかったこと,アンモニアがすぐ菌体内へ取り入れられることが考えられた。7.以上のことから,破砕の程度が高い飼料ほど発酵は急速になりVFA産生量も高くなるが,消化管内通過速度が早いため飼料の消化の面では効率が低下するようである。
1975-10-10

粗飼料の形態のちがいが消化率,ルーメン発酵および消化管内滞留時間に及ぼす影響

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