寒冷温度が舎飼の若雌乳牛の安静時代謝に及ぼす影響

概要

論文の詳細を見る
1.寒冷環境とくに温度が乳牛のガス代謝に及ぼす影響をしり,寒冷の程度に応じた維持飼料給与量の適切化に資するため実験した。2.若雌牛2頭に牧乾草を維持量の20%増で与え,牛舎内で繋養し一連の実験を2回行った。2回とも温暖期には畜房内をヒーターで加温し,寒冷期には窓を全部開放し,この両期を交互に設定した。両期の切替え時には原則として5日間の馴致期をおき,2〜3日間にわたり早朝に安静時のガス代謝を測定した。3.測定時における畜房温度は温暖期(11回)は12〜19℃で,その日周期変動の平均は10.5±5.2℃であった。また寒冷期(17回)はそれぞれ12〜-18.8℃および17.2±6.0℃であった。4.温暖期と寒冷期とでは,飼料摂取量と体重にも著しい変化はみられなかった。5.ガス代謝測定時における畜房温度により次の5段階に区分し,平均値をもとに検討した。+12℃以上(18例),+12〜+4℃(7列),+4〜-4℃(11例),-4〜-12℃(13列),-12℃以下(6例)6.温度の低下に伴い,呼気量と呼吸数が減少し,ともに-4〜-12℃において最低を示した。-12℃以下において呼気量はわずかながら増加傾向を示した。1回当たり呼気量は+4〜-12℃の範囲においては温度の低下に伴い明らかに増大していた。7.脈拍数は-12℃以降で増大がみられた。8.熱発生量は+12℃以上では65.9cal/分/kg^<3/4>で,その後著しい変化がみられなかったが,-12℃以降では72.1calとなりごくわずかに増しているようであった。9.-12℃以下ではガス代謝測定時に著しい「ふるえ」の現象を観察し,その発生時に脈拍数,呼吸数の一時的な激増がみられた。10.+4〜-12℃の範囲内では物理的な調節による放熱の抑制が行われており,-12℃以下になるとさらに著しくなることがうかがわれた。-4〜-12℃の範囲においていくらか化学的調節が始まり,体熱平衡が保たれたものと推定された。
帯広畜産大学の論文
1976-06-25

寒冷温度が舎飼の若雌乳牛の安静時代謝に及ぼす影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク