寒冷環境における泌乳牛の代謝と生産反応の変化

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(1)寒冷時における乳牛の代謝と生産反応の変化を栄養生理面から明らかにするため,環境温度制御下(+10℃〜-20℃)での泌乳牛による代謝試験,呼吸試験および飼養試験を実施した。(2)粗飼料からの乾物摂取量は寒冷処理開始後の日数経過とともに増大の傾向を示し,乾物摂取量の増加割合は-20℃期に大きかった。(3)期間内通算の実乳量は寒冷期にやや減少の傾向があったが,乳脂率およびたんぱく質率は増加傾向があり,FCMおよびSCM乳量は処理間に差は生じなかった。(4)寒冷処理の開始とともに呼吸数の著減,単位時間内呼気量の激減(1回あたり呼気量の著増)をみ,寒冷期特有の深く遅い呼吸パターンが急速に形成された。(5)メタボリック・ボディ・サイズあたりの熱発生量は,-10℃,-20℃期ともに寒冷処理開始当初はむしろ低く,寒冷処理終期に至り回復した。(6)寒冷処理期における血中遊離脂肪酸濃度およびヘマトクリット値は-10℃,-20℃期ともに寒冷処理開始当初から増加し,血糖値は-20℃期に若干増加した。(7)期間内通算の体重,直腸温,心拍数および摂水量には温度処理にもとつく一定の変化はなかった。(8)段階的または急激な温度変換による寒冷曝露の諸反応への影響は-10℃および-20℃の両処理を通じて明確ではなかった。(9)これらの成績から,-10℃〜-20℃の寒冷曝露の初期には呼吸数の著減を主徴とする放熱抑制反応が顕著に優先するとともに,血中成分濃度も比較的すみやかに対応するが,寒冷処理に対する熱発生量の定常的な増大反応はややおくれて発現するものと考えられた。
帯広畜産大学の論文
1982-08-25

寒冷環境における泌乳牛の代謝と生産反応の変化

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