牧草の化学薬剤添加サイレージ調製がサイレージ蛋白質の山羊第一胃内分解と蛋白分解酵素による消化に及ぼす影響

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本研究は,赤クローバをサイレージ調製する際に,ギ酸,ホルマリン,タンニン酸及びエチルアルコールを添加し,発酵品質及びサイレージ粗蛋白質と純蛋白質の第一胃内分解について検討するとともに,第一胃以降下部消化管での粗蛋白質の消化について蛋白分解酵素を用いた消化試験により検討したものである。得られた結果は次の通りである。1.ギ酵・ホルマリン添加区(FFS)及びギ酸・タンニン酸添加区(FTS)サイレージにおける蛋白態窒素の全窒素に対する比率は,無添加区(CS)及びアルコール添加区(AS)の場合より高くなった。また,アンモニア態窒素濃度は化学薬剤処理区でCS区より低い値を示し,埋蔵過程での蛋白質の分解抑制に対する化学薬剤処理の効果が認められた。2.サイレージ粗蛋白質の第一胃内分解率は,薬剤処理区でCS区と比べて低く推移した。第一胃内純蛋白質分解率は,CS区でもっとも高く,以下FFS,AS及びFTS区の順で低く推移し,純蛋白質の化学処理による第一胃内分解抑制が認められた。各サイレージ区における各必須アミノ酸濃度は,材料草のそれらと比較すると若干高くなった。第一胃内培養前後のサイレージにおける各必須アミノ酸濃度に大きな変動は認められなかった。3.第一胃内培養24時間後の各サイレージ粗蛋白質のペプシン・パンクレアチン(p-p)によるin vitro消化率は,CS区より薬剤処理区で高い値を示した。本研究の結果から,牧草の化学薬剤添加サイレージ調製は,埋蔵過程での牧草蛋白質の分解抑制,並びにサイレージ蛋白質の第一胃内分解率の抑制に対して効果を示し,とくにギ酸とタンニン酸の併用による効果の高いことが認められた。また,サイレージ蛋白質の下部消化管での有効利用に対して効果のあることが推察された。
1992-10-30

牧草の化学薬剤添加サイレージ調製がサイレージ蛋白質の山羊第一胃内分解と蛋白分解酵素による消化に及ぼす影響

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