暖地型マメ科牧草Aeschynomene americana cv. Glennの細胞壁構成物質及び無機物含有率に及ぼす湛水処理の影響

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オーストラリアから導入した暖地型マメ科牧草Aeschynomene americana cv.Glennの耐湿性と土壌養分吸収特性との関連を明らかにするため,湛水が植物体各部位細胞壁物質含有率及び無機物含有率に及ぼす影響を検討した。Glennをポット栽培し,発芽後14日目から10,20及び30日間湛水する区と湛水しない対照区を設けた。30日間の湛水で地上部セルロース及びリグニン含有率が対照区より高い値を示した。地下部においては湛水期間が長くなるほどヘミセルロース及びリグニン含有率は低い値を示した。カルシウム及びマグネシウム含有率は湛水により低下したが,湛水20日目から30日目において地上部への相対蓄積率(RMAR)は対照区と同様の値を示し,吸収能(SAR)は対照区より高い値を示した。カリウム及びリン含有率は湛水期間中対照区より高い値で推移し,これらの吸収能は湛水20日目から30日目で対照区より高い値を示した。マンガン及び鉄吸収能は湛水により著しく高い値となった。マンガンについては,地上部相対蓄積率は湛水20日目から30日目では対照区と同様となり,吸収されたマンガンは地下部へ蓄積することが認められた。鉄については,地下部への蓄積が著しいとともに地上部への相対蓄積率も対照区より高い値を示した。湛水条件で生育するGlennにおいては根部細胞の顕著な木質化は認められず,生理的機能を続ける細胞の割合を高く維持することにより,カルシウム,マグネシウムなどの吸収能を維持する。さらに,吸収した鉄,マンガンを地下部に蓄積し,また,マンガンについては地上部へ多量に移行しにくい機構をもっている。これらの要因により,過湿条件で生じやすいミネラルの欠乏あるいは過剰による害を回避しているものと推察された。
日本草地学会の論文
1997-10-31

暖地型マメ科牧草Aeschynomene americana cv. Glennの細胞壁構成物質及び無機物含有率に及ぼす湛水処理の影響

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