高齢者の口腔内状態の分類と野菜の食べやすさ

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高齢者の口腔内状態と野菜の食べやすさの関連性を知るために,さまざまな硬さと凝集性をもった18種の生および加熱野菜を調製し,若年者を対照として高齢者の官能評価を行った.主成分分析により,高齢者にとって野菜の食べにくさの要因は,硬さ,形状,飲み込みやすさなどであった.若年者は硬さ,形状,食塊の形成のしやすさで,両者は共通であったが,若年者の方が食べにくさの基準として咀嚼後の残渣のようなもの,口に広がるなど,野菜の物性をより厳密に種々の用語を用いて区別していた.高齢者と若年者の口腔内状態をニューラルネットワークにより1〜5の5グループに分けた.グループ1は,若年者全員と口腔内状態のよい高齢者が混在し,ほとんどのパネリストは自分の歯を保有していた.最も口腔内状態が低いグループ5は,咬合力が最も小さく,自分の歯をほとんど保有していなかった.18種の野菜を,ニューラルネットワークによる5グループそれぞれの食べにくさ,咀嚼時間,咀嚼回数について関連性を調べた.食べにくさと咀嚼時間あるいは咀嚼回数との間にはr=0.64以下ではあるが相関がみられ,食べにくさの数値が大きいほど咀嚼時間,咀嚼回数が長い傾向にあった.高齢者の口腔内状態と野菜の食べにくさの関係の理由として口腔内状態の低いグループは,硬い,大きいことに加えて水分の補給を必要としているものは食べにくいことがわかった.
社団法人日本家政学会の論文
2008-12-15

高齢者の口腔内状態の分類と野菜の食べやすさ

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