水の硬度が煮出し汁の嗜好性と溶出成分に及ぼす影響
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概要
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硬度の異なる3種の水,南アルプスの天然水,エビアン,コントレックスを用いて,かつお節だし,野菜スープ,牛肉のスープストックを調製した。総窒素,遊離アミノ酸,イノシン酸,グアニル酸,有機酸の分析および官能評価を行い,水の違いを比較した。かつお節だしでは用いた水の種類によって,遊離アミノ酸のパターンが異なっていた。官能評価では総合的な好ましさに有意の差は無かったが,エビアンと南アルプスの天然水が好まれる傾向にあった。野菜スープでは南アルプスの天然水に殆どの遊離アミノ酸が多く,次いでエビアンに多かった。官能評価ではこの両者が有意に好まれた。牛肉スープストックではコントレックスがアクを最も多く分離してスープは清澄であった。遊離アミノ酸合計量はエビアンに最も多く,ついでコントレックスであった。エビアンはイノシン酸,グアニル酸も有意に多かった。官能評価で最も好まれたのはエビアンであった。硬度の異なる水で3種の煮出し汁を調製すると,溶出成分に差があった。煮出し汁の好ましさは溶出成分だけでなく,水そのものの味も影響することから,溶出成分と水の味との兼ね合いで好ましさが決まるといえる。
- 日本調理科学会の論文
- 2007-12-20
著者
-
坂本 真里子
株式会社ミツカン
-
畑江 敬子
和洋女子大学
-
河野 一世
財団法人味の素食の文化センター
-
畑江 敬子
和洋女子大学家政学部
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坂本 真里子
(株)ミツカン
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河野 一世
(財)味の素食の文化センター
-
熊谷 まゆみ
和洋女子大学
-
赤野 裕文
(株)ミツカン
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畑江 敬子
和洋女子大学家政学群
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