食肉の風味成分に関する研究 : 第3報 生肉中の中, 酸性揮発性成分について
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概要
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牛, 豚, 緬羊の生肉臭気の構成成分の内容を明らかにするとともに, これと加熱香気構成成分との関係を明らかにするために本研究が行なわれた.まず牛, 豚, 緬羊の生ひき肉を水懸濁液とし, 55℃以下で減圧蒸留して得られる流出液をコールドトラップに捕集して全揮発性成分を一括分離し, さらにこれから揮発性脂肪酸区分と, 中・酸性揮発性区分を分離し, ガスクロマトグラフィーにより分析した.その結果, 揮発性脂肪酸としてはギ酸, 酢酸, プロピオン酸, イソ, n-酪酸, イソ, n-バレリアン酸, イソ, n-カプロン酸, n-カプリル酸などが検出された.量的にみると, これらは畜種によって異なっているが, n-酪酸が緬羊肉に多いことが1つの特徴であった.つぎに中・酸性揮発性成分として, 43種の成分の存在を示すピークが現われたが, そのうち同定し得たのは24種のみであった.このなかにはジメチルスルフィド, 各種アルデヒド, ケトン, アルコール等が含まれるが, いずれもこれらは畜種間で余り差異が認められなかった.以上の結果から, 各畜種の生肉の臭気構成成分は, 多くの中・酸性揮発性成分の存在が背景となっているが, それぞれに特徴を与えているのは, 存在する揮発性脂肪酸の量的割合によるものであって, 特別な物質の存在によるものではないことが推定された.生肉の臭気成分と加熱香気成分との関係については, 本研究の結果と, これまでの研究報告にのべられているものとを比較して考察するとき, 生肉の臭気成分は主として低沸点揮発性成分よりなり, しかもそれらは加熱香気成分の一部でもあるところから, 加熱香気構成成分は, 加熱により二次的に肉の中で形成された成分が大部分であろうが, 生肉それ自体のもつ低沸点揮発性成分も共存していることは明らかであり, 従って肉の加熱香気はこの両者によって構成されていると思われる.
- 鹿児島大学の論文
- 1978-03-19
著者
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小島 正秋
Animal Products Processing Research Laboratory
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加香 芳孝
Animal Products Processing Research Laboratory
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本郷 富士弥
琉球大学農学部
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本郷 富士弥
バイオパワーフーズ(株)
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上松瀬 昇
鹿児島県畜産試験場
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田嶋 一人
全国酪農業協同組合連合会
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川井田 博
鹿児島県畜産試験場
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宮内 泰千代
鹿児島県畜産試験場
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