豚肉に含まれる遊離糖量の品種による差異について
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概要
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本研究は, 鹿児島地方で古くから飼育され, とくに呈味性に富むといわれるバークシャー種豚と, 最近, わが国に導入されてきた外国系改良品種4品種豚の背最長筋と大腿二頭筋に含まれる遊離中性糖含量を2種の方法, システイン-硫酸法とイオン交換クロマトグラフィーにより, 分析定量して比較したものである.えられた結果はつぎのとおりであった.1.全ヘキソース, 全ペントースおよび個々の中性糖とも, すべて雌雄(去勢)間にはほとんど差異はなかった.しかし, いずれも品種間には差がみられ, バークシャー>デュロック>ランドレース>大ヨークシャー>ハンプシャーの順に多く含まれており, 糖の合計量でみても, 当然同様の傾向がみられた.また, 筋肉の種類では背最長筋よりも大腿二頭筋の方が遊離糖を多く含んでいる特徴がみられた.2.イオン交換クロマトグラフィーにより分析定量された中性糖の種類は7種類で, このうちラムノースを除けば, 従来報告されている牛, 豚肉に見出されたものと一致していた.量的関係をみると, いずれの品種豚の肉でもグルコースが最も多く, 45〜50%程度を占め, ついでマンノース>リボース>ガラクトース>フラクトース>ラムノース>ソルボースの順に多く含まれていた.これらを品種ごとに合計してみるとき, やはりバークシャー種豚肉が最も多く, 100mg%程度となるが, それに対して最も少ないハンプシャー種豚肉では80mg%程度であり, 両者の間に約20%程度の差がみられた.以上の結果より, バークシャー種豚肉が呈味性に富んでいる一因は, 遊離糖の含有量が多いためであろうと考えられた.
- 鹿児島大学の論文
- 1983-03-15
著者
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